22年ぶりのプレミアリーグ制覇まで、あと1ステップだ。5月18日(日本時間19日)、エミレーツ・スタジアムでのホーム最終戦でアーセナルがバーンリーを1-0で下し、悲願のタイトルへ王手をかけた。シティとの勝ち点差は暫定で5。今季最大のドラマは、まだ終わっていない。
ハヴァーツ、CKから値千金の一撃
前半37分、試合を動かしたのはやはりセットプレーだった。ブカヨ・サカが蹴ったインスイングのコーナーキックに、カイ・ハヴァーツが頭で合わせてネットを揺らした。前半はトロサールのポスト直撃、サカのクロスバー直撃と決定機がことごとく阻まれていた中で、ようやく奪った先制点だ。
アルテタ政権下でセットプレーは確固たる得点源として機能し続けており、このシーズンも例に漏れず土壇場で仕事をした。「決定機を外し続けながら、セットプレーで仕留める」というアーセナルらしい勝ちパターンが、今季最終ホームゲームでも発揮された形だ。
膠着した後半、辛くも1点を守り切る
後半に入るとバーンリーがやや攻勢を強め、試合はこう着状態へ。アーセナルは72分にギェケレシュ、ルイス・スケリー、インカピエを同時投入して流れを変えようとしたが、追加点は生まれなかった。ギェケレシュが前線から猛烈なプレスでスタジアムを沸かせる場面もあったが、スコアは動かず。
バーンリーも決定的なシーンを作り出せないまま、試合は1-0で終了した。ホームでのシーズン最終戦を勝利で締めくくる、まさに「ミッション達成」の90分だった。タイトルを争うチームとしては、内容よりも結果を求める試合で最低限の仕事を果たした。
一度は崩れたアーセナル
今季のアーセナルは、終始盤石だったわけではない。シーズン中盤、連敗・連続ドローが続く「崩れ」の時期を経験した。チャンピオンズリーグやカップ戦との過密日程の中で選手のコンディションが低下し、守備の要サリバの負傷離脱もあってリーグ戦で勝ち点を落とす時期が続いた。
その時期、一時は首位の座をシティに明け渡す場面もあり、「また今年もタイトルを逃すのか」というサポーターの不安がSNS上でも広がっていた。しかしアルテタは戦術の修正と若手起用でチームを立て直し、後半戦に入ると再び勝ち点を積み重ねた。崩れたあとに立て直した経験が、今季のアーセナルを一段たくましくした。
シティの誤算と失速
一方のマンチェスター・シティも、今季は盤石とは言えないシーズンを送った。昨季からの主力高齢化の問題に加え、ペップ・グアルディオラ体制の戦術的な硬直化を指摘する声が海外メディアからも上がり始めた。リーグ戦での取りこぼしが続く中で、シティは終盤戦に入っても首位奪還のチャンスを何度か逃し、アーセナルに差を広げられる展開が続いた。
シティのサポーターの間では「もし序盤に落とした試合を拾えていれば」という声も根強い。それほど今季の失速は、単なる一時的な不振ではなく、シーズン全体を通じた課題の積み重ねによるものだった。
直接対決、エティハドでシティが勝利
今季の優勝争いを語るうえで欠かせないのが、4月19日(日本時間24:30キックオフ)にエティハド・スタジアムで行われた直接対決だ。ホームのシティが勝利を収め、一時は優勝争いの行方が再びわからなくなった。青いスタジアムが歓喜に包まれたこの一戦は、シティにとって今季最大のハイライトとなった。
しかしアーセナルはこの敗戦後も崩れなかった。直接対決での敗北を引きずることなく、その後のリーグ戦で勝ち点を積み続けた。結果的に、エティハドでの敗戦はアーセナルにとって「それでも揺るがなかった」という強さを示す試練となった。シティが直接対決で勝ちながらも、最終的に勝ち点差を縮めきれなかった事実が、今季のアーセナルの強さを物語っている。
優勝条件は「シティの結果次第」
この勝利でアーセナルの勝ち点は82に。2位マンチェスター・シティとの差は暫定で5ポイントに開いた。19日(日本時間)に行われるシティ対ボーンマス戦でシティが勝ち点を落とした場合、アーセナルは最終節を待たずにプレミアリーグ優勝が決定する。
シティが勝利した場合でも、最終節(5月24日)でのアーセナルの優勝決定チャンスは残る。ゴール差の関係上、アーセナルは最終節クリスタル・パレス戦(アウェイ)で勝利すれば、シティの結果にかかわらず優勝が決まる公算が大きい。いずれにせよ、22年越しの悲願達成は目前だ。
「2004年の無敗優勝」以来の栄冠へ
アーセナルの前回プレミアリーグ制覇は2003-04シーズン、いわゆる「無敵艦隊(インビンシブルズ)」の伝説的な無敗優勝だ。その後、22シーズンにわたってタイトルに手が届かなかったクラブが、ミケル・アルテタ監督のもとでついに頂点に立つ直前まで来た。
今シーズンは守備の堅さ(失点26はリーグトップクラス)と組織的なセットプレーを武器に首位を独走してきた。一度は崩れ、エティハドでの敗戦も経験し、それでも立ち上がり続けた末に手繰り寄せた優勝だ。エミレーツが今季最後に沸く日は、もうすぐそこまで来ている。

