ファンダイクが2点決めてもリヴァプールが負けた夜 ヴィラ4得点快勝

イングランド

守備の大黒柱が2点を取った。それでも、リヴァプールは4-2で敗れた。5月15日のヴィラ・パーク、勝てばチャンピオンズリーグ(CL)出場権を手繰り寄せられた試合で起きたことは、スコア以上の何かを物語っている。

CBが2点を取る夜に起きること

センターバックが1試合で2得点。普通は「最高の夜」のはずだ。ファン・ダイクは52分、ソボスライのクロスに合わせてヘディング弾を叩き込み、いったん同点に追いついた。しかし57分にワトキンス、73分に再びワトキンスと続けて失点。それでも諦めず、90+2分にダメ押しの追撃弾を頭で押し込んだ。2ゴールのうちどちらも、流れからではなくセットプレーやクロスに合わせたヘディング。これは偶然の産物ではなく、今のリヴァプールが「セットプレーに頼るしかない攻撃」であることを如実に示している。

今季、ファン・ダイクはプレミアリーグで6ゴール。センターバックとして自身のキャリアハイだ。通常なら称賛されるべき数字だが、この試合では称賛よりも「なぜDFが前線に頭を出さなければならないのか」という問いの方が先に来る。

昨季3敗、今季12敗という現実

比較は冷酷だ。昨季2024-25シーズン、リヴァプールのプレミアリーグ敗戦数はわずか3。圧倒的な強さでタイトルを制した。それが今季は同じ36試合時点で12敗。この数字をただ並べるだけでは伝わらないものがある。昨季の「3」とは、リーグ戦のほぼ全てで勝つか引き分けるかだったということだ。今季の「12」は、試合ごとに「また負けるかもしれない」という不安がスタンドとソファを覆い続けた数字でもある。

アウェイに限れば13試合で3勝3分7敗。ホームの王者が、外に出ると途端に崩れる。スロット監督自身が「ヨーロッパ戦の後のアウェイゲームで勝点を落としすぎた」と認めている。ヴィラ戦もCLの激闘の疲れが残る中でのアウェイ戦だった。言い訳としてではなく、構造上の問題として向き合うべき数字だ。

マクアリスターとキャラガーの「あの場面」

試合中、ひとつの場面が物議を醸した。マクアリスターが接触プレーで大げさに倒れたように見えた瞬間、スロット監督はベンチから「立て」とジェスチャーし、解説席のジェイミー・キャラガーはテレビカメラの前で「恥ずかしい」と言葉を絞り出した。監督にもOBにも見切られた瞬間と見る向きもあるが、それよりも「チームの緊張感の欠如」を象徴する場面として海外ファンに広く共有されている。

もちろん、マクアリスター個人を責めるだけでは不公平だ。この試合でのリヴァプールの中盤は全体的に沈黙しており、特定の選手の問題というよりもチームとして機能不全に陥っていた。

スロット監督の続投宣言が意味すること

批判の嵐の中で、スロット監督は静かに言い切った。「離れることは考えていない。変わったのは結果だけで、私自身は何も変わっていない」。前向きに取るか、危機感の薄さと取るかは人によって分かれる言葉だ。ただ、今季がスロットにとってキャリア初めて「シーズン終了時点でタイトルを争っていない」経験になると自ら認めた事実は重い。優勝争いからも外れ、CLすら最終節まで決まらない。これがスロット体制2年目の現実だ。

最終節「ブレントフォード戦」で何が起きるか

現在、リヴァプールは4位・勝ち点59(36試合)。5位のヴィラも同じ勝ち点59だが、得失点差でリヴァプールが上回る。最終節(対ブレントフォード、アンフィールド)で勝てば4位以上が確定し、CL出場権を掴める。引き分けや敗戦の場合、ヴィラや他チームとの兼ね合いで状況が変わる。

さらに奇妙なシナリオも浮上している。ヴィラがヨーロッパリーグを制した場合、英国勢への追加CL枠がひとつ下の順位にずれる可能性があり、その条件次第ではブレントフォードが「負けた方がCLに近づく」という状況が生まれうる。BBCもこの可能性を報じているが、前提条件が重なる必要があり現時点では確度の低いシナリオだ。ただ、こんな複雑なシナリオが生まれること自体が、今季のリヴァプールの「迷子感」を象徴している。

最終節アンフィールドで問われるもの

勝てば、少なくとも形の上では「想定内の結末」に収まる。90分間を走り切り、普通にボールを繋ぎ、普通にゴールを奪う。今季のリヴァプールに、その「普通」がどれだけ残っているか。ファン・ダイクが最後の試合でもヘディングで2点を決める必要が出てくるとしたら、それはチームの「普通」がまだ戻っていないことを意味する。

守備の柱が2点取っても報われなかった夜から1週間。アンフィールドは問いに答えを出せるか。

タイトルとURLをコピーしました