日本代表MF鎌田大地を長期離脱で欠くクリスタルパレスが、苦境に立たされている。直近のUEFAカンファレンスリーグ(UECL)でターンオーバー(選手の入れ替え)を敢行して勝利を狙ったものの引き分けに終わり、続くリーグ戦では主力を戻して必勝を期したが、リーズ・ユナイテッドに1-4と粉砕された 。田中碧(リーズ)が余裕の途中出場で締めくくった一方で、パレスは「二兎を追って二兎とも得られなかった」厳しい現実に直面している。
「勝ちに行った」UECLでの誤算が引き金に
今回の悪夢のような週末は、12月18日のUECL、KuPS(フィンランド)戦から始まっていた。グラスナー監督はこの試合、過密日程を考慮して若手やサブ組を積極的に起用。決して「捨て試合」ではなく、フレッシュなメンバーでしっかりと勝利を掴み、主力への負担を減らすという明確なプランを持って臨んだ 。
しかし、結果は2-2のドロー。格下相手にホームで勝ちきれなかったことは、チームに重い空気をもたらした。勝利という良薬を得られないまま、中1日で強度の高いリーズとのアウェイ戦に向かわざるを得なくなったのである 。
クリスタルパレス主力総動員も機能せず、守備が崩壊
迎えた12月20日のリーズ戦、パレスは温存していた主力メンバーをスタートから並べ、万全の体制で臨んだはずだった。しかし、試合はパレスにとって残酷な結末となった。
リーズは前半から圧倒的な攻勢を仕掛け、パレスのゴールに襲いかかった。スタッツが示す通り、シュート数20対9、枠内シュート8対3とリーズが一方的に攻め立てた 。特に、ドミニク・カルバート・ルーウィンの空中戦の強さは脅威で、前半だけで2ゴールを奪われた 。パレス守備陣はセットプレーへの対応も脆く、イーサン・アンパドゥとアントン・シュタッハにもゴールを許し、終わってみれば1-4の完敗 。
グラスナー監督は試合後、「セットプレーで4失点もするのは恥ずべきことだ」とチームの集中力の欠如を嘆いた 。休養十分のはずの主力組が、球際で競り負け(リカバリー数はリーズ6に対しパレス4 )、走力で圧倒される姿は、チームの歯車が完全に狂っていることを象徴していた。
鎌田大地の「不在」が攻守に連鎖
この機能不全の核心には、やはり鎌田大地の不在がある。ハムストリングの負傷で「8〜10週間」の離脱となった彼の代わりは、今のパレスには見当たらない 。
現地メディアや識者は、パレスが攻撃の形を作れなかった要因として、中盤でのボールロストの多さを指摘している。鎌田がいる時は、彼がタメを作ることで味方が上がり、守備ラインを押し上げる時間を作れていた。しかし、彼を欠いた今、ボールを前線に運ぶ「経由地」がなくなり、クリアボールを拾われては波状攻撃を受ける展開が続いている 。
現地メディア『Football.London』などは、鎌田の不在が攻撃の単調さを招き、守備陣への負担を増大させたと分析している 。
リーズ田中碧、勝利を確信した「余裕の投入」
対照的に、ホームのリーズは充実の時を過ごしている。日本代表MF田中碧はこの日、ベンチスタートとなったが、これはネガティブな理由ではない。
チームが3点をリードし、勝利をほぼ手中に収めた後半76分、ブレンデン・アーロンソンに代わってピッチに入った 。
田中は無理にリスクを冒さず、シンプルにボールを動かして時計の針を進める役割を完遂した。チームはその後、アディショナルタイムにシュタッハの直接フリーキックでダメ押しの4点目を奪い、田中は汗をかくことなく勝利の瞬間に立ち会った 。好調な彼を温存できるほどの選手層と、チーム全体に浸透した自信が、今のリーズの強さを支えている。
独自視点:結果が出ない「焦り」が判断を狂わせたか
UECLで「メンバーを落としても勝てる」と踏んで勝ちきれなかったことが、結果的にリーズ戦での精神的な重圧になった可能性は高い。「主力を休ませたのだから、リーグ戦では絶対に勝たなければならない」という焦りが、かえってプレーを硬くし、単純なミスやセットプレーでのマークのずれを誘発したのではないか。
サッカーにおいて、フィジカルの回復と同じくらい重要なのが「自信」の回復だ。パレスは今、戦術的な修正以前に、成功体験を失ったことによるメンタル面の負のスパイラルに陥っているように見える。特に、精神的支柱となり得る鎌田がいない今、誰がピッチ上でチームを落ち着かせるのか、その答えが見つかっていないのが現状だ。
まとめ
- パレスはUECLでサブ組中心でも勝利を狙ったが引き分け、悪い流れでリーグ戦へ向かった。
- リーズ戦では主力を戻したが、シュート数20対9と圧倒され、セットプレーから崩れて1-4の大敗を喫した。
- 鎌田大地の不在により、攻守のバランスとチームの自信が失われていることが露呈した。
- 田中碧は余裕の展開で途中出場し、好調リーズの勝利に貢献した。
計算通りの勝利を逃し、計算外の大敗を喫したパレス。鎌田が戻るまでの約2ヶ月、この「負の連鎖」をどう断ち切るかが最大の焦点となる。


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