リヴァプールで出場機会が激減している遠藤航。前シーズンは43試合に出場していたのに、今シーズンはわずか9試合、プレー時間は167分という衝撃的な数字だ。31歳というベテランの域に入った彼を取り巻く環境は厳しさを増している。鎌田大地の安定感、佐野海舟や田中碧の成長、そして藤田譲瑠チマや佐野航大といった若手の急成長。森保監督がW杯に向けてローテーション体制を敷く中、遠藤はどう生き残るのか。冬の移籍市場という選択肢も含め、我らが日本代表キャプテンの未来を多角的に考えてみよう。
スロット体制で激変したリヴァプールでの遠藤の立ち位置
アルネ・スロット監督が就任した2024-25シーズン、遠藤航にとって状況は一変した。前シーズンのユルゲン・クロップ監督時代は43試合に出場し、2758分ものプレー時間を記録していた。しかし今シーズンは12月時点で9試合の出場にとどまり、そのうちスタメンはわずか2試合、プレー時間も合計167分という厳しい現実が待っていた。
スロット監督は中盤の構成を大きく変更し、ライアン・フラーフェンベルフを軸に据える戦術を採用している。遠藤は主に試合終盤の守備固めで投入される役割となり、試合の流れを作る中心選手からは遠ざかってしまった。遠藤本人もメディアのインタビューで監督との対話について触れ、「リヴァプールでプレーするのは簡単ではない」とコメントしている。プレミアリーグの厳しい競争環境を肌で感じている様子が伝わってくる。
31歳という年齢を考えると、この出場機会の減少は単なるローテーションの問題では済まされない。サッカー選手にとって試合勘は何よりも重要で、週に一度も試合に出られない状況が続けば、判断力や身体能力の維持は難しくなる。特に代表レベルの試合では、わずかな判断の遅れが致命的なミスにつながりかねない。W杯という最高峰の舞台で最高のパフォーマンスを発揮するには、定期的な出場機会が不可欠だ。
ただし、リヴァプールの状況も流動的だ。スロット監督の体制が続く保証はなく、もし解任されれば新監督の下で遠藤の評価が変わる可能性もある。しかし、新監督が来たからといって序列を上げられる保証もない。むしろ新体制でさらに出場機会が減るリスクも考えられる。不確実な状況に賭けるよりも、確実に出場できる環境を求める方が現実的な選択と言えるだろう。
日本代表中盤の世代交代と激しい競争
遠藤の状況をさらに複雑にしているのが、日本代表の中盤における人材の豊富さと世代交代の波だ。まず確実な選択肢として存在するのが、クリスタルパレスでプレーする鎌田大地だ。プレミアリーグでの経験を積み、攻撃的な役割もこなせる鎌田は、代表での実績も十分にある。さらに鎌田はシャドーストライカーとしての起用も可能で、戦術的な柔軟性を持つ選手だ。ボランチだけでなく前線でも使えるこの多様性は、森保監督にとって大きな魅力となる。
若手の中で特に注目されているのがマインツの中心的な存在となった佐野海舟だ。守備能力だけではなく技術力とゲームメイク能力に優れ、次世代のボランチとして期待されている。代表での出場機会も増やしており、遠藤の後継者候補として真っ先に名前が挙がる存在だ。彼の成長は遠藤にとって最も脅威となる要素の一つと言えるだろう。
リーズの田中碧も忘れてはならない存在だ。代表での出場機会を着実に増やしており、守備力とパスセンスのバランスが取れた選手として評価されている。守田や遠藤が不調の時には、彼がスタメンに入る可能性も十分にある。クラブチームでの活躍だけでなく、日本代表でも安定したパフォーマンスを続けており、森保監督からの信頼も厚い。
ブンデスリーガのFCザンクトパウリでプレーする藤田譲瑠チマは、守備的ミッドフィールダーとして着実に経験を積んでいる。ドイツの厳しい戦術環境で揉まれることで、代表レベルでも通用する判断力を身につけつつある。NECナイメヘンの佐野航大は、その多様性が大きな武器だ。両サイド、トップ下、インサイドハーフと複数のポジションをこなせる器用さは、森保監督のようなローテーション重視の指揮官にとって魅力的な選手となる。若さゆえの運動量とスピードも、ベテラン勢にはない強みだ。
さらに興味深いのが、センターバックからのコンバートの可能性だ。アヤックスの板倉滉やル・アーヴルの瀬古歩夢は最近クラブチームでボランチとして起用されるケースが増えている。日本代表のセンターバックは現在は怪我人が多いが、それでも層が厚く、選択肢は豊富だ。そのため、板倉や瀬古をボランチで起用するという選択肢もゼロではない。彼らの身長と守備力を活かせば、守備的な試合運びが必要な局面で有効な戦力となる。
ちなみにもう一人のベテラン、守田英正もスポルティングCPで苦しい状況に置かれている。怪我の問題が続いており、出場機会も減少傾向にある。代表の中盤を長年支えてきた遠藤と守田の両名が、クラブで苦戦しているという事実は、日本代表にとって大きな懸念材料だ。
森保監督のダブルチーム構想と遠藤の役割
森保一監督は、2026年W杯に向けてダブルチーム体制を構築する方針を示している。これは、同じポジションに複数の選手を用意し、試合の状況や相手によってメンバーをローテーションする戦略だ。この方式には大きなメリットがある。
まず、選手の疲労を分散できる。W杯は短期間に複数の試合が続くため、主力選手が怪我をしたり疲労で本来の力を発揮できなくなるリスクが高い。ローテーションによって選手のコンディションを保つことができる。
次に、相手チームの特性に応じた戦術を取りやすくなる。攻撃的なチーム相手には守備的な選手を、守備的なチーム相手には攻撃的な選手を起用するといった柔軟な対応が可能になる。
この戦略の下では、遠藤がローテーションの一員として起用される可能性は十分にある。彼は日本代表で70キャップ以上の出場経験を持ち、大舞台での経験値は若手とは比較にならない。特に重要な試合や、守備を固めて勝ち点を守りたい局面では、遠藤のような経験豊富な選手が重宝される。
しかし、スタメンとして全試合に出場できるかというと、現状では楽観視できない。リヴァプールでの出場機会減少により試合勘が鈍っている状態では、若手の勢いに押される可能性もある。森保監督としても、クラブで定期的に出場している選手を優先したいという気持ちがあるだろう。
冬の移籍市場という現実的な選択肢
遠藤にとって、冬の移籍市場で新天地を求めることは極めて現実的な選択肢だ。リヴァプールは昨年のプレミアリーグ王者であり、チャンピオンズリーグにも出場している。ワールドクラスの選手が多数在籍し、まさに名門チームであり、クラブにいるだけで学ぶことは非常に多いはずだ。ただ、今シーズンは状況が変わってきている。リヴァプールが急に勝てなくなってきており、2025年12月9日時点でプレミアリーグ10位という驚くべき順位に位置している。
もはや遠藤にとってリヴァプールにいる意味がなくなってきているのではないかと考えてもおかしくないだろう。
特に2026年W杯という大目標を控えた今、試合に出られる環境を選ぶことは理にかなっている。日本人選手が活躍できるリーグは多く、ブンデスリーガやベルギーリーグ、さらにはスペインやフランスのリーグでも遠藤の経験は歓迎されるはずだ。
移籍のメリットは明確だ。まず試合勘を取り戻せる。週に一度は確実にスタメンで出場できる環境なら、身体のキレや判断力を維持できる。次に、新しい戦術環境での経験は選手としての幅を広げる。リヴァプールとは異なる戦い方を学ぶことで、代表でも新たな役割を担える可能性がある。
もちろん、リヴァプールに留まるという選択もある。世界最高峰のクラブで練習を続けることで、技術レベルを維持できる。限られた出場機会でも、プレミアリーグやチャンピオンズリーグという最高の舞台で戦える価値は大きい。しかし、W杯での立ち位置を考えると、移籍というカードを切る時期が近づいているのは間違いない。
W杯までのスケジュールと判断のタイミング
2026年W杯は北米大会として開催され、6月から7月にかけて行われる予定だ。つまり、遠藤には約1年半の準備期間がある。この期間をどう使うかが、彼のW杯での立ち位置を決めることになる。
もし冬の移籍市場で動くなら、2025年1月が最初のチャンスだ。移籍先で半年プレーし、夏にはある程度のコンディションを取り戻せる。そして2025-26シーズンを丸々新天地で戦えば、W杯前には十分な試合経験を積める計算になる。
一方、リヴァプールに留まる場合は、スロット監督の信頼を取り戻す必要がある。練習で質の高いパフォーマンスを見せ続け、限られた出場機会で結果を出すしかない。しかし、中盤の競争が激しい現状を考えると、これは簡単な道ではない。
森保監督も、W杯の1年前からは本格的にメンバー選考を始めるだろう。2025年の親善試合やアジア予選で結果を残した選手が、優先的に選ばれることになる。遠藤がその競争に加わるためには、クラブでの安定した出場機会が前提となる。
個人的な想い:W杯日本対オランダへの期待
ワールドカップ2026の組み合わせ抽選で、オランダと同じグループになったのが興味深い。リヴァプールはオランダ人監督をはじめ、オランダ人選手が多数所属している。特にポジションを奪われたライアン・フラーフェンベルフもオランダ人だ。W杯の舞台で、遠藤が、フラーフェンベルフやコーディー・ガクポ、フィルジル・ファンダイクを擁するオランダと渡り合い、日本を勝利に導く姿を観たいと考えてしまう。
まとめ
遠藤航が2026年W杯でスタメンを守れるかどうかは、今後数ヶ月の決断にかかっている。リヴァプールでの出場時間が前シーズンの2758分から167分へと激減した現実は重い。31歳という年齢を考えれば、試合勘を失うことは致命的だ。
鎌田大地の安定感と戦術的柔軟性、佐野海舟の次世代エース候補としての台頭、田中碧の堅実な成長、藤田譲瑠チマや佐野航大といった若手の急成長。さらに守田英正も怪我で苦しんでおり、日本代表の中盤は完全に世代交代の波に飲まれつつある。森保監督のダブルチーム構想の中で、遠藤がどのような役割を担えるかは、今後のクラブでのパフォーマンス次第だ。
冬の移籍市場で新天地を求めるか、リヴァプールで競争を続けるか。どちらを選んでも簡単な道ではないが、W杯という大目標を見据えれば、試合に出られる環境を選ぶことが最も合理的かもしれない。遠藤航のキャリアにとって、この冬は大きな分岐点となる。彼の決断と、それに続く半年間のパフォーマンスが、日本代表の未来を左右することになるだろう。


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