ブルーノ・フェルナンデスが、2025-26シーズンのEA SPORTSプレミアリーグ最優秀選手賞(Player of the Season)を受賞した。37試合で20アシスト・8ゴール。プレミアリーグの歴史に刻まれた数字を引っさげ、マンチェスター・ユナイテッドの主将が頂点に立った。
EA SPORTSプレミアリーグ最優秀選手賞とは
この賞はプレミアリーグ公認の年間個人最高賞だ。1994-95シーズンにアラン・シアラー(ブラックバーン)が初代受賞者となって以来、30年以上の歴史を持つ。 受賞者はシーズン終了直前に発表され、各クラブのキャプテンや専門家・OBによる評価が90%、ファン投票が10%という形で選出される。
歴代には、ティエリー・アンリ、クリスティアーノ・ロナウド、ケビン・デ・ブライネ、モハメド・サラーといった名前が並ぶ。なかでも複数回の受賞は、アンリ・ロナウド・ヴィディッチ・デ・ブライネ・サラーの5人だけだ。 この賞を手にすることは、そのシーズンのプレミアリーグにおける絶対的な個人タイトルを意味する。
発表と対抗馬たち
今季のショートリストにはデクラン・ライス(アーセナル)、ガブリエウ・マガリャンイス(アーセナル)、ダビド・ラヤ(アーセナル)、アーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)らが名を連ねていた。 強豪クラブの選手たちを押しのけてのブルーノの受賞は、個人成績の圧倒的な説得力によるものだった。
20アシストという歴史的な数字
この受賞を語るうえで外せないのが、20アシストというスタッツだ。これはプレミアリーグシングルシーズン最多タイ記録であり、2002-03のティエリー・アンリ、2019-20のケビン・デ・ブライネだけが並ぶ景色に、ブルーノが加わった。
| 選手 | アシスト | シーズン |
|---|---|---|
| ブルーノ・フェルナンデス | 20 | 2025-26 |
| ティエリー・アンリ | 20 | 2002-03 |
| ケビン・デ・ブライネ | 20 | 2019-20 |
| メスト・エジル | 19 | 2015-16 |
| セスク・ファブレガス | 18 | 2014-15 |
20本目のアシストは5月16日、ノッティンガム・フォレスト戦。ブライアン・エンベウモへのクロスがゴールにつながった瞬間、記録は並んだ。 ブルーノ自身は「ティエリー・アンリとケビン・デ・ブライネと同じ記録を達成できたことを非常に誇りに思う」とコメントしている。 受賞後には「アシストと勝利、そしてシーズンを最高の形で締めくくることができて、とても嬉しい」と喜びをかみしめた。
マンUとしては15年ぶり
マンチェスター・ユナイテッド所属選手としてのEA SPORTS最優秀選手受賞は、2010-11シーズンのネマニャ・ヴィディッチ以来、実に15年ぶりだ。 タイトル獲得から遠ざかり、クラブとして厳しい時代が続いたなかで、主将がこの賞を持ち帰った。受賞の重みはスタッツ以上のものがある。
チームは最終的に3位でシーズンを終え、来季のCL出場権を確保した。 ルーベン・アモリン前監督の解任後、マイケル・キャリックが指揮を引き継ぎ、ブルーノをNo.10のポジションに戻した采配が数字の爆発に直結したという見方も強い。キャリック自身も「ブルーノが本当に嬉しい。完全にふさわしい受賞だ」とコメントしている。
沸き立つ称賛と渦巻く批判
受賞に際して、海外では称賛と批判が入り交じった。r/soccerでは「20アシストは文句なし。チームがどの順位にいようと、これは歴史的な数字だ」「FWA・PLの両方を取ったのは納得。今季のプレミアで彼より上はいなかった」という声が多数を占めた。
一方で、著名なOBから異論が上がったことも記録しておく必要がある。元マンUキャプテンのロイ・キーンは「キャプテンがアシスト記録だけを気にするのはおかしい。チームのために戦え」と痛烈に批判した。 TalkSPORTのエイドリアン・ダーラムも「マンUは今季欧州戦に出ていない。体力的な消耗がなかった分、数字を積み上げやすかった。アシスト数にアスタリスクをつけるべきだ」と主張している。
ただし、この批判への反論も根強い。FWA(イングランドサッカー記者協会)の約900名の投票で約45%を集めての受賞であり、記者たちがシーズン全体を通じて下した評価だ。 欧州戦の有無を差し引いても、プレミアリーグの全37試合で一貫してチームを牽引した事実は変わらない。
アシストの中身を深掘りすると
ここで少し数字の「質」にも目を向けたい。20アシストのうち10本がセットプレーからのものだ。 対して、アンリの20本のうちオープンプレーからが18本、デ・ブライネも17本がオープンプレーだった。この構成の違いが「記録の価値」を巡る議論を生んでいる一方、セットプレーのキッカーとして高い精度を発揮し続けたことも、れっきとした才能だという見方もできる。
同じ「20」という数字でも、その中身はそれぞれ異なる。どの記録に価値があるかではなく、違うタイプのクリエイターが同じ頂点に立ったという事実が、プレミアリーグという競技の奥深さを示している。
今後の見どころ
ブルーノは今夏、2026 FIFAワールドカップでポルトガル代表のキャプテンとして出場する。クラブ・代表ともに、今が最も充実しているシーズンと言っていい。来季はCL復帰が確定したユナイテッドで、今度こそ欧州の舞台での活躍を見せられるか。批判を跳ね返すにはピッチで答えを出すしかない。その点において、ブルーノ・フェルナンデスのモチベーションに疑いの余地はない。
