覚醒した前田大然の劇的決勝点でセルティック逆転優勝|移籍前最後の大仕事か

スコットランド

前田大然が右足で押し込んだ瞬間、セルティックパーク(収容6万411人)は一つの生き物のように揺れた。

87分、交代出場のオスマンドがゴール前に侵入してマイナスクロスを送る。走り込んだ前田が中央から右足で流し込む。2-1。これが事実上の優勝決定ゴールだった 。

セルティック 3-1 ハーツ。スコティッシュ・プレミアリーグ最終節、2026年5月16日。セルティックが5連覇を達成した。

ハーツの誤算と、66年の重み

ハーツにとってこれは悪夢だった。

9月から首位を守り続け、最終節を迎えた時点でセルティックに勝ち点1のアドバンテージがあった 。引き分けさえすれば、1959-60シーズン以来66年ぶりの優勝が確定する 。スコットランドで最後にオールドファーム以外のクラブが優勝したのは1985年のことで、実に41年ぶりの快挙が目前に迫っていた 。

43分、キャプテンのローレンス・シャンクランドがキングスレーのクロスに合わせて先制ヘッダー。ハーツサポーターが夢を確信した瞬間だった 。

しかし後半、セルティックが猛然と圧をかける。45+4分にエンヘルスがPKを冷静に決めて同点。2-1になってもなお諦めなかったハーツは最後まで守り切ろうとしたが、87分に前田の足が全てを決着させた 。

前田大然、終盤戦での覚醒

前田大然が今シーズン、どんな軌跡を歩んできたかを知らなければ、この決勝点の重みは伝わらない。

3月時点では「フォーム不振のため今夏売却を検討」と複数の英国メディアが報じていた 。スコットランドに渡って4年、長年チームを支えてきた前田だったが、シーズン中盤は輝きを失いかけていた。

転機はスプリット後だった。上位グループに入って以降、前田はゴールを量産する。5月9日の対レンジャーズ戦では53分に先制弾を押し込むと、57分にはオーバーヘッドキックをトップコーナーに叩き込むという驚異の2ゴール 。「彼のセカンドゴールは信じられなかった」と暫定監督マーティン・オニールも言葉を失った 。ハーツ戦の決勝点でリーグ戦通算14ゴール到達。エンドレスに続いたスランプの季節は、最高の形で幕を閉じた 。

「集大成」が意味する次の物語

前田大然は今夏、セルティックを去る可能性が高いとされている。複数の英国メディアがプレミアリーグへの移籍を報じており、本人も新たな挑戦を目標として掲げているという。

もしそれが本当なら、この87分の決勝点はセルティックでの4年間の締めくくりとして、あまりにも鮮やかすぎる幕引きだ。

5連覇という偉業に、名前を刻んだ。スランプを乗り越え、最終節の決勝点という最高の舞台で証明してみせた。W杯を前に、自分の価値を世界に再提示した。前田大然にとってこの87分は、セルティックでの物語の最終章であり、次のステージへのプロローグでもある。

セルティックのユニフォームを着て、最後に最高の仕事をした男の次の夢は、もうそこまで来ている。

タイトルとURLをコピーしました