41日ぶりの復帰、その瞬間に何かが変わった
5月2日、エミレーツ・スタジアム。フラムを3-0で粉砕したアーセナルの試合で、最も重要なシーンはゴールではなかった。
キックオフから数分、左サイドで背番号7がボールを受けた。身体の向き、スピード、ドリブルの重心。エミレーツのサポーターはすぐに理解した。サカが戻ってきた。
3月22日のカラバオ杯決勝でマンチェスター・シティに0-2で敗れて以来、41日ぶりの先発復帰。アキレス腱の負傷で離脱していたブカヨ・サカは、まるでその空白を埋めるように試合を支配した。
サカがいない41日間、アーセナルに起きていたこと
数字は冷酷だ。サカが欠場した4試合、アーセナルはわずか1勝しかできなかった。
もちろん、対戦相手の質や試合展開など様々な要因がある。しかし、あのカラバオ杯決勝でシティに完封されてから、アーセナルはどこか「怖さ」を失っていた。エミレーツのサポーターは感じていたはずだ。チームは動いている、パスもつながっている、でも何かが足りない、と。
その「何か」の正体が、4月30日のフラム戦でようやく明らかになった。サカが先発に名前を連ねた瞬間から、アーセナルは別のチームになっていた。
なぜサカが戻るとギェケレシュが輝くのか
9分、サカからのパスを受けたギェケレシュが先制点。40分、今度はサカ自身がゴールを決める。45+4分、トロサールのクロスにギェケレシュが頭で合わせて3-0。前半だけで勝負は決まった。
この試合、ギェケレシュはFotMobレーティング9.1という圧倒的な数字を記録した。2ゴール1アシスト。今季プレミアリーグ14ゴール目と15ゴール目を、まとめて前半で奪い取った。
ここに戦術的なからくりがある。サカがいると、相手のディフェンスラインは自動的に下がる。サカのドリブルとシュート能力を警戒するDF陣は、彼を「捕まえに行く」のではなく「下がって待つ」選択をせざるを得ない。その結果、ギェケレシュの目の前にスペースが生まれる。9分のゴールがまさにその典型だった。スウェーデン人FWは「孤立した9番」ではなく、サカという解錠キーがあってこそ、最大限に機能するストライカーなのだ。
逆に言えば、サカ不在期間にギェケレシュの得点が停滞したとされるのは必然かもしれない。(この点はシーズンを通じた詳細なデータ照合が必要だが)一部のファンや海外メディアの分析では、この2人の共存が今のアーセナルの「設計図」の核になっているという指摘が増えている。
フラムは何もできなかった
一方のフラムは、ほぼ何もさせてもらえなかった。プレミアリーグ中位とはいえ堅実な守備で知られるチームが、前半45分で3失点。しかも後半は枠内シュートをほとんど打てないまま試合が終わった。
これがアーセナルの「本来の姿」だということを、フラム戦は証明した。エミレーツでサカとギェケレシュが揃っている時、このチームは手がつけられない。
残り試合、アルテタが計算していたこと
アーセナルは現在、2位マンチェスター・シティに勝ち点6差をつけている。ただし、アーセナルはシティより2試合多く消化しており、純粋なアドバンテージではない。
ここで振り返りたいのが、アルテタの判断だ。カラバオ杯決勝後、サカをすぐに強行出場させる選択もあり得た。実際、ファンからの「サカはいつ戻る?」というプレッシャーはあった。しかしアルテタは慎重に、慎重に、6週間待ち続けた。
結果論ではあるが、この判断は正しかった可能性が高い。もしサカを無理に使って再離脱していたら、タイトル争いは別の展開になっていただろう。フラム戦の前半3ゴールは、ある意味で「アルテタが6週間かけて準備した攻撃」とも言える。
20年ぶりのリーグ優勝に必要な2人
アーセナルが最後にプレミアリーグを制したのは2004年、あの「無敗優勝」の年だ。20年以上、クラブはその栄光を取り戻せずにいる。
今季はどうか。残り試合でシティが全勝し、アーセナルが一度でも取りこぼせば状況は変わる。プレミアリーグとはそういうリーグだ。アーセナルサポーターがこれを知りすぎるほど知っているのも事実だ。
ただ、5月2日のフラム戦で見えたものがある。サカとギェケレシュが同じピッチに立ち、前半だけで3ゴールを奪い、フラムに何もさせなかったあの90分。もしアーセナルが20年ぶりのタイトルを手にする瞬間が来るとすれば、それはこの2人が揃ってピッチを支配している時だ。
