シティ3-0パレスに勝利でアーセナル勝ち点差2、優勝争いはまだ終わらない

イングランド

シティが3-0で勝った。フォーデンが二度の魔法を見せた。そして優勝争いは、まだ終わっていない。

5月13日、エティハド・スタジアム。マンチェスター・シティはクリスタル・パレスを3-0で下し、首位アーセナルとの勝ち点差を2に縮めた。一時は5ポイントまで開いた差が、消化試合数の並んだ今、再びひと試合分の射程まで戻ってきた。21年ぶりの優勝を狙うアーセナルにとって、これは「祝勝ムード」が一気に「最終節までの戦い」へと変わった瞬間でもある。

フォーデンの「ヴィンテージ」が呼び戻したシティ

試合は前半32分、フィル・フォーデンの一本のバックヒールから動いた。アントワーヌ・セメンヨが裏に抜け出し、右足で流し込んだ先制点。8分後にはフォーデンが再びゴール前へラストパスを供給し、今度はオマール・マルムシュがディーン・ヘンダーソンの脇を抜く落ち着いた一撃で2-0とする。後半84分、途中出場のライアン・シェルキが長いドリブルから絶妙のスルーパス。サヴィーニョが左足で流し込み、勝負を決めた。

ポゼッション72パーセント、シュート15対6、xG1.56対0.68。試合は完全にシティのペースだった。フォーデンのSofascoreレーティングは試合最高の9.0。キーパス5本、決定機創出2回。実は彼はこの12月中旬以降、17試合でアシストはたった1つだった。長く封印されていた「ヴィンテージ・フォーデン」が、最も大事な時期に戻ってきた格好だ。

ペップ・グアルディオラは試合後、握りこぶしを高々と突き上げた。Sky Sportsの記事は「諦めていないという印象を与えた」と表現した。シティはこの後、3日後にチェルシーとのFAカップ決勝、6日後にボーンマス戦、そして11日後にアストン・ヴィラ戦と、11日で4試合の超過密日程に突入する。それでも、ペップは諦めない。理由は彼自身の「個人記録」にある。

ペップが守り続ける「2シーズン連続無冠ゼロ」

グアルディオラは2008年にバルセロナの監督に就任して以来、バルセロナ、バイエルン・ミュンヘン、マンチェスター・シティと指揮してきた。その全てのキャリアにおいて、彼は「2シーズン連続でリーグ優勝を逃したこと」が一度もない。Sky Sportsが指摘するこの事実は、現役監督として極めて異例の記録である。

シティだけを切り取っても、9シーズンで6度のプレミアリーグ制覇。2024年には英国史上初の4連覇まで成し遂げた。だが昨季2024-25は3位に終わり、王座を明け渡した。つまり今季優勝を逃せば、ペップは「初の2シーズン連続無冠」を記録することになる。これがどれほど彼にとって受け入れ難いかは、フィストパンプの強さが物語っている。

ローテーションの中身にも執念が見える。パレス戦ではアーリング・ハーランド、ジェレミー・ドク、シェルキを揃ってベンチに置き、1月以来となるヨシュコ・グヴァルディオルを先発復帰させた。FAカップ決勝とリーグ最終盤を見据えた、計算され尽くした選択だった。「フィルは小さなスペースでボールを受けて、何かを生み出す。優れた選手は結果を出す」。ペップは試合後、フォーデンを称えながら、ローテーション成功の手応えも滲ませた。

数字ではアーセナル有利、しかし「自前の恐怖」がある

冷静に数字を見れば、優勝の主導権はアーセナルにある。残り2試合のアーセナルの相手は、降格決定のバーンリー(ホーム)と、欧州決勝を控えるクリスタル・パレス(アウェイ)。シティの相手はボーンマス(アウェイ)とアストン・ヴィラ(ホーム)。アーセナルは2勝すれば優勝。一方、シティは2勝に加えて、アーセナルが少なくとも1試合落とすことを必要とする。

歴史的に見れば、これは絶望的な数字だ。Sky Sportsによれば、イングランドのトップディビジョンにおいて、5月時点で5ポイント以上のビハインドから逆転優勝したチームは存在しない。エヴァートン戦の引き分けでシティが5ポイント差をつけられた段階で、ペップは前例のない壁に挑むことになっていた。パレス戦勝利で2ポイント差まで戻したとはいえ、アーセナルが2勝すれば全ては終わる。

ただし、アーセナルには「自前の恐怖」がある。前回プレミアリーグを制したのは2003-04、アーセン・ベンゲルの「インヴィンシブルズ」。それから21年、北ロンドンは優勝旗を見ていない。直近で言えば、2022-23シーズン、アルテタ率いるアーセナルは終盤にシティに首位を明け渡した。昨季2024-25も、終盤の失速で3位に転落している。そして2025年4月、首位リヴァプールを追っていたアーセナルは、ホームでクリスタル・パレスと2-2のドロー。優勝を完全に手放した。

その同じパレスが、5月24日に最終節の相手となる。場所はセルハースト・パーク。グラスナー監督の最終ホーム戦だ。ペップは試合前に「パレスは欧州決勝を控えてリーグでは少し苦しんでいるかもしれないが、質と型がある」と評した。降格争いから解放された彼らがアウェイのアーセナル戦に何を見せるか。歴史は、サッカーが冷酷な記憶のスポーツであることを教えている。

「もしも」を握る得失点差というカード

最後にもう一つ、ライトファンには見落とされがちな数字を置いておきたい。

パレス戦の3-0勝利により、シティの得失点差は+43。アーセナルは+42。万が一、両者が最終的に勝ち点で並んだ場合、次の判定基準は得失点差、その次は総得点、そしてその次は「直接対決の勝ち点」となる。今季の直接対決はシティが1勝1分で4ポイントを獲得。つまりタイブレーカーのほぼ全てがシティ側に傾いている。

アーセナルが2勝すれば、これらは全て無意味になる。だが、もし1試合でも引き分けてシティが2勝すれば、勝ち点79で並び、得失点差勝負になり得る。シティが3-0で勝ち続けている理由は、ここにもある。一発の大量得点が、最後の砦になる可能性を、ペップは捨てていない。

5月24日、運命の90分

最終節は5月24日。アーセナルはセルハースト・パークで、シティはホームのエティハドでアストン・ヴィラを迎える。ペップは「諦めていない」、アルテタは「終わらせなければならない」。21年待ったアーセナルが優勝旗を掲げるのか、それともペップが「2シーズン連続無冠ゼロ」を守り抜くのか。

数字はアーセナル有利を示している。だが、サッカーの最終節は、いつも数字を裏切ってきた。フォーデンは試合後にこう語った。「我々はプレッシャーをかけ続け、アーセナルを動揺させ続けなければならない。我々には果たすべき役割がある」。

その役割を、最後まで果たそうとするチームがある限り、優勝争いは終わらない。

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