レアル・マドリードが消えた。
2026年5月25日、スペインサッカー連盟(RFEF)がW杯2026に臨む26名の最終メンバーを正式発表した。 ルイス・デ・ラ・フエンテ監督が選んだ顔ぶれの中に、名門レアル・マドリードの選手は1人もいない。スペインがW杯に参加した17回すべての歴史で、これは初めてのことだ。
「興奮こそが今の代表を表す言葉だ。情熱もある。スペイン全土の人々が、大人も子どもも、代表を全力で応援してくれている」とデ・ラ・フエンテ監督は発表後に語った。
スペイン代表ワールドカップメンバー一覧(26名)
ユーロ2024を制し、世界一の座を狙うスペインの最終メンバーは以下の通りだ。
GK(3名)
ウナイ・シモン(アスレティック・ビルバオ)、ダビド・ラヤ(アーセナル)、ジョアン・ガルシア(バルセロナ)
DF(8名)
マルク・ククレジャ(チェルシー)、アレハンドロ・グリマルド(バイヤー・レバークーゼン)、パウ・クバルシ(バルセロナ)、アイメリック・ラポルト(アスレティック・ビルバオ)、マルク・プビル(アトレティコ・マドリード)、エリック・ガルシア(バルセロナ)、マルコス・ジョレンテ(アトレティコ・マドリード)、ペドロ・ポロ(トッテナム)
MF(8名)
ペドリ(バルセロナ)、ファビアン・ルイス(PSG)、マルティン・スビメンディ(アーセナル)、ガビ(バルセロナ)、ロドリ(マンチェスター・シティ)、アレックス・バエナ(アトレティコ・マドリード)、ミケル・メリノ(アーセナル)、ミケル・オヤルサバル(レアル・ソシエダ)
FW(7名)
ラミン・ヤマル(バルセロナ)、ニコ・ウィリアムズ(アスレティック・ビルバオ)、ダニ・オルモ(バルセロナ)、フェラン・トーレス(バルセロナ)、イェレミー・ピノ(クリスタル・パレス)、ミケル・オヤルサバル(レアル・ソシエダ)、ボルハ・イグレシアス(セルタ・ビーゴ)、ビクトル・ムニョス(オサスナ)
バルセロナが代表を染める8人
今回の選考で最も目を引くのは、バルセロナからの選出数だ。ラミン・ヤマル、ペドリ、ガビ、ダニ・オルモ、フェラン・トーレス、パウ・クバルシ、エリック・ガルシア、ジョアン・ガルシアの8名がメンバー入りした。 26名中8名、つまり3人に1人近くがバルサの選手という構成だ。
これは偶然ではない。ハンジ・フリック監督率いる今季のバルセロナはラ・リーガで圧倒的なパフォーマンスを見せており、その主力たちがそのままスペイン代表の主力を占めている。スペインがW杯を初制覇した2010年、代表の背骨を形成したのもバルセロナの選手たちだった。ジャビ、イニエスタ、プジョル、ブスケツ。あの黄金世代と今のバルサ勢の支配を重ねて見るファンは多い。
なぜレアル・マドリードからゼロなのか
レアルからの選出ゼロは、「スペイン代表がレアルを冷遇した」わけではない。タイミングと状況が重なった結果だ。
最有力候補だったディーン・ハイセン(21歳)は今季レアルで急成長を遂げた守備の新星で、3月の親善試合では唯一のレアル所属選手として招集されていた。 しかし最終発表からは外れた。ダニ・カルバハルは今季も怪我による長期離脱が続き、選考外。デ・ラ・フエンテ監督が重視したのは「継続性」だ。ユーロ2024優勝メンバーを軸に、コンディションが整っている選手を優先したこの判断は、驚きよりも「納得感」のある選考とも言える。
スペイン代表史上、初めての出来事
スペインがW杯に初参加したのは1934年。以来、17回のW杯出場すべてでレアル・マドリードの選手が含まれており、その記録が2026年に初めて途絶えた。 ちなみに過去最もレアルからの選出が少なかったのは1950年W杯で、その時でもルイス・モロウニーの1人が選ばれていた。
一方、バルセロナはスペインがW杯に参加した全17回で選手を送り込んでいる。スペイン代表とバルセロナの縁は、100年近い歴史を持つ。
海外ファンの受け止め方
今回のメンバー発表は、海外でも大きな反響を呼んだ。Bleacher Report、BBC Sportなど主要メディアが「史上初のレアル不在」を速報で取り上げ、Redditのr/soccerでは「レアルのスター軍団がいるにもかかわらず誰も代表に入れない。それだけスペインの選手層が厚い証拠だ」という反応が多く見られた。 一方でレアルファンからは「ハウゼンは絶対入ると思っていた」という落胆の声も目立つ。一部の意見ではあるが、「これはバルサとレアルの力関係が代表にも反映された瞬間」と捉えるファンも多い。
ヤマルの怪我という不安要素
W杯への期待が高まる一方、18歳のエース・ラミン・ヤマルのコンディションには注意が必要だ。左足ハムストリング系の負傷を抱えており、6月15日のグループステージ初戦(対カーボベルデ)の出場が難しいとも報じられている。 ただしヤマル本人は出場の意欲を示しており、最終的な判断はW杯開幕直前まで続くとみられる。推測の域は出ないが、ヤマル不在でもスペインにはニコ・ウィリアムズ、ダニ・オルモ、イェレミー・ピノと豊富な前線の選択肢がある。
「守るべき王者」として挑む北中米の舞台
スペインのW杯グループHの対戦相手はカーボベルデ、サウジアラビアと強豪国ではなく、グループ突破は堅いとみられている。ユーロ2024を制した現役欧州王者として、スペインは世界中の識者から優勝候補の筆頭に挙げられる存在だ。 レアルのいないスペイン代表が、バルセロナの黄金世代を武器に何を見せるのか。その答えは6月15日、北米の地から届く。
