ハリーケイン決勝3得点でバイエルン二冠。61ゴールでバロンドール最有力か

ドイツ

2026年5月23日、ベルリン・オリンピアシュタディオン。ハリー・ケインがDFBポカール決勝でハットトリックを叩き込み、バイエルン・ミュンヘンが3-0でシュトゥットガルトを下した。ブンデスリーガに続くカップ戦制覇で、国内二冠が決定した。

バイエルン加入後、3タイトル目の二冠

ハリー・ケインがトッテナム・ホットスパーのユニフォームを脱いだのは2023年夏のことだ。下部組織時代から数えれば約19年間、プロとしても12年間を捧げたクラブで、通算435試合・280ゴールという圧倒的な記録を残しながら、公式タイトルはゼロだった。「ケインは偉大だが、トロフィーがない」というレッテルは、その長いキャリアに常についてまわった。

移籍金は約8,600万ポンド(約170億円)。バイエルン加入1年目(2023-24シーズン)、ケインは公式戦45試合で44ゴール12アシストという怪物的な数字を叩き出した。しかしチームはブンデスリーガ11連覇を逃し、CLも準決勝敗退。タイトルとの縁は再び切れた。

転機は翌2024-25シーズン、コンパニー就任1年目のことだ。ケインは26ゴールを挙げてブンデスリーガ2連続得点王を達成し、バイエルンはリーグ制覇。ケイン、32歳にして念願のキャリア初タイトルを手にした。優勝パレードでケインは「遠くからこのような祝賀を見てきましたが、自分自身で体験するまでは言葉にするのが難しい。タイトルを獲得したことは、シーズンを締めくくる完璧な方法でした」と語った。

そして迎えた2025-26シーズン。コンパニー就任2年目、ケインはさらなる高みへ到達した。ブンデスリーガ3連続得点王、公式戦通算61ゴール。バイエルンのシーズン総ゴール数122はブンデスリーガ記録を塗り替え、欧州5大リーグ過去78年間でも最多ゴール数に並ぶ水準だ。 そしてシーズン最後の試合、DFBポカール決勝のピッチで、ケインはその集大成を見せた。バイエルン加入後のタイトル数は、今回の二冠でついに3つとなった。

前半0-0からの後半3発

試合序盤、シュトゥットガルトは組織的な守備ブロックでバイエルンの攻撃を封じた。前半45分間、バイエルンはポゼッションで圧倒しながらもゴールを割れず、スコアは0-0でハーフタイムを迎えた。

後半、コンパニー監督が縦への速さと連動性を修正したとみられる。流れが変わったのは55分だった。マイケル・オリーズが右サイドで仕掛けてクロスを送り、ケインがファーでダイビングヘッドを叩き込んで先制。80分にはケイン自身のシュートがポストを叩き、こぼれ球を素早くターンして2点目を押し込んだ。90+2分、スティラーのハンドによるPKを冷静に決めてハットトリックを完成させた。

3ゴールはそれぞれ異なる形で生まれた。ヘッドでの飛び込み、反応とターンの速さ、そしてPKの冷静さ。ストライカーとしての引き出しの多さが如実に表れた90分間だった。

DFBポカール決勝ハットトリック、史上4人目

この記録の希少性は数字だけでは伝わりにくい。DFBポカール決勝でハットトリックを決めた選手は史上4人しかいない。1963年のウーヴェ・ゼーラー(ハンブルガーSV)、1986年のローランド・ヴォールファルト(バイエルン)、2012年のロベルト・レヴァンドフスキ(ドルトムント)、そして2026年のケインだ。

今季61ゴールという数字も、欧州サッカー史上でも指折りの水準に達する。シーズン60ゴール超えはメッシやロナウドの全盛期でも限られた年にしか達成されていない領域だ。バイエルン全体の122ゴールのうち、ケインひとりがほぼ半数を叩き出している計算になる。「ケインなしでは今季のバイエルンはなかった」という評価は決して大げさではない。

バロンドール候補の最前線へ急浮上

DFBポカール優勝を受けて、海外メディアやファンの間でケインのバロンドール評価が一気に高まっている。Goal.comやBBC Sportは「ケインはバロンドール争いで無視できない存在になった」と報じており、61ゴール+国内二冠という数字の組み合わせは突出している。

ただし、バロンドールはケインひとりの争いではない。エムバペ、ハーランド、ハフィーニャ、ヴィニシウスらも有力候補として名前が挙がっており、ケインは現時点で「最有力候補の一人として急浮上した」という状況だ。

加えて、バロンドールの歴史的な傾向として、UEFAチャンピオンズリーグのタイトルが選考に大きく影響してきた経緯がある。バイエルンの今季CLでの成績が最終的な判断材料の一つになる可能性は十分ある。それでも、Reddit r/soccerでは「ケインが受け取らないなら誰が受け取るのか」「CLがないとはいえ、これを無視するのは不可能」といったコメントが多数寄せられており、世界のファンの間でも一定のコンセンサスが形成されつつある。

コンパニーが作った「ケインを活かす構造」

見落とされがちだが、今季のケインの爆発はコンパニー監督の設計なしには語れない。コンパニーはバイエルンのポゼッション安定性を維持しながら、ケインがペナルティエリア内でボールを受ける回数を増やす配置を採用した。オリーズとの右サイドコンビは今季特に機能しており、DFBポカール決勝の先制点もそこから生まれた。

コンパニーは試合後に「ハリーはシーズン全体を通じてこのチームの中心だった。今日の3ゴールは必然だ」と語ったと伝えられている(Goal.com報道)。

なお、今回の試合には日本代表DFの伊藤洋輝も終盤に投入され、ピッチ上で二冠の歓喜を分かち合った。日本のファンにとってもこの優勝は決して他人事ではない。

トロフィーを手にしたストライカーの次の景色

ケインにとって、今回の二冠達成はキャリアの新たな章の始まりでもある。「トロフィーなしの天才」というレッテルは、2024-25シーズンのブンデスリーガ制覇でいったん消え、DFBポカール決勝のハットトリックによって完全に書き換えられた。

今後の注目点は2つだ。ひとつは2026-27シーズンのCL制覇に向けた挑戦。もうひとつは、今夏のバロンドール選考でケインの名前がどこまで浮上するか。61ゴール、国内二冠、決勝ハットトリック史上4人目という事実は、選考委員に対して十分な説得力を持つ。最後に笑うのはケインかもしれない。

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