上田綺世3戦連発、フランス リール移籍へ クラブ間合意と現地報道

オランダ

上田綺世が再びゴールを決めた。その直後にはLOSCリールへの移籍でクラブ間合意に達したと報じられ、フェイエノールトでの3年間が終わりに近づいている。昨季エールディヴィジ得点王に輝いた日本代表FWは、今季も3試合連続得点。絶好調のままフランスへ向かう可能性が極めて高くなった。

上田綺世がまた得点、0-2から反撃のきっかけ

フェイエノールトは現地時間8月30日、エールディヴィジ第4節でADOデン・ハーグとホームのデ・カイプで対戦し、2-2で引き分けた。

開幕3試合で勝ち点を獲得できていなかった昇格組を相手に、フェイエノールトは苦しい展開を強いられた。前半に先制を許すと、後半にも失点して0-2。優勝争いを考えれば、ホームで看過できない展開となった。

そこで反撃の口火を切ったのが上田だった。62分、右寄りの位置でボールを受けると、相手GKとの間を射抜く右足シュートでネットを揺らした。その後、アニス・ハジ・ムサも得点し、フェイエノールトは何とか2-2まで追いついた。

クラブ公式も上田の得点を反撃のきっかけとして伝えている。ただしチームは勝ち越すことができず、開幕4試合を終えて勝ち点8。今季ホームではゴー・アヘッド・イーグルス戦に続いて2試合連続の2-2となった。

個人としては好調、チームとしては取りこぼし。この対照的な状況の中で、上田を巡るさらに大きなニュースが試合後に飛び込んできた。

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昨季25得点の得点王、今季も3試合連続ゴール

上田はこれでリーグ戦3試合連続得点となった。

ゴー・アヘッド・イーグルス戦でゴールを決め、続くSCカンブール戦でも得点。そしてADOデン・ハーグ戦でもネットを揺らした。

昨季だけの一時的な爆発ではない。

2025-26シーズン、上田はエールディヴィジで25得点を記録し、リーグ得点王に輝いた。エールディヴィジ公式でも、年間得点王に贈られる「ウィリー・ファン・デル・カイレン・トロフィー」の受賞者として上田が掲載されている。

特に昨季序盤の勢いは圧倒的で、最初の15節だけで18得点。シーズンを通して相手守備から強く警戒されながらも最終的に25得点まで積み上げた。フェイエノールト加入当初は必ずしも絶対的な主力ではなかった上田が、2年ほどをかけてリーグ屈指のストライカーへと評価を変えたシーズンだった。

そして今季も結果を出し続けている。

ADO戦での得点について『L’Équipe』は、フェイエノールトでのエールディヴィジ82試合目で通算40得点目だったと紹介している。ほぼ2試合に1点という水準まで数字を伸ばした状態で、上田はオランダを離れることになりそうだ。

試合後に急展開、上田はチームメートに別れ

ADO戦終了後、移籍の動きは一気に加速した。

オランダ『Voetbal International』は、上田が試合後にフェイエノールトのチームメートやクラブ関係者に別れを告げたと報道。その後、移籍先がLOSCリールであることも伝えた。

さらにリールのオリヴィエ・レタン会長がADO戦をデ・カイプで直接観戦していたという。レタン会長はフェイエノールト首脳陣と最後の交渉を行い、試合終了後にクラブ間で合意に達したとされている。

『VI』によれば、上田はその日のうちにリールへ移動。現地時間8月31日に個人条件に関する最終手続きとメディカルチェックを行う予定だ。

つまり、ADO戦は最初から「退団試合」として正式に設定されていたわけではない。それでも移籍交渉が最終局面にある中で上田が先発し、チームが0-2と追い込まれた状況から得点。その数時間後にはチームメートへ別れを告げ、新天地へ向かったという流れになる。

移籍が予定通り成立すれば、3試合連続となったこのゴールがフェイエノールトでの最後の得点になる可能性が高い。

リールと全面合意か、移籍金は約1500万ユーロと報道

フランスでも移籍成立は目前との見方が強い。

『L’Équipe』は30日夜に記事を更新し、リールとフェイエノールトが上田の移籍について「全面的な合意」に達したと報じた。移籍金は約1500万ユーロになるとしている。

同紙によれば、レタン会長はチャンピオンズリーグの抽選が行われたモナコでもフェイエノールト側と交渉を進め、30日にロッテルダムを訪れて話をまとめたという。31日にメディカルチェックを受け、その後に契約へ進む予定とされる。

ただし、日本時間8月31日午前の時点では、フェイエノールトとリール双方から上田の完全移籍を正式に発表したリリースは確認されていない。

そのため現段階では「リール移籍決定」と断定するより、「クラブ間合意が報じられ、メディカルチェックと正式契約を残す段階」とするのが正確である。

移籍市場ではメディカルチェックや契約書への署名まで完了して初めて正式決定となる。報道の具体性を見る限り成立する可能性は非常に高いが、公式発表を待つ必要はある。

なぜリールは上田を必要としたのか

今回の移籍で興味深いのは、リールが昨季のエールディヴィジ得点王をどのような位置づけで獲得するのかという点だ。

リールには元フランス代表FWオリヴィエ・ジルーがいる。

年齢だけを見れば、上田への世代交代を進める補強にも見える。しかしジルーは依然として結果を残しており、『L’Équipe』によれば今季リーグ・アン最初の2試合で1得点2アシスト。単純に現在のセンターフォワードを入れ替える必要がある状況ではない。

一方で、ジルーは9月に40歳を迎える。

加えてモロッコ代表FWハムザ・イガマネは右膝前十字靱帯断裂からの復帰途上であり、リールがシーズンを通してジルーだけにセンターフォワードを任せるのは現実的ではない。

さらに今季のリールはチャンピオンズリーグにも参戦する。

UEFAによれば、リーグフェーズではレアル・ベティス、アーセナル、ガラタサライ、バイエルン・ミュンヘン、ローマなどとの対戦が組まれている。国内リーグと欧州最高峰の大会を並行して戦うため、前線には質だけでなく人数も必要になる。

そこで昨季25得点、今季も3戦連発中の上田である。

リールから見れば、将来的な投資だけではない。加入直後から得点を求められる即戦力であり、ジルーと出場時間を分担しながら中長期的にはセンターフォワードの中心を任せられる選手として計算できる。

ジルーとの競争は上田にとって好材料にもなる

もちろん、リールへ行けば自動的にレギュラーになれるわけではない。

ジルーは世界最高峰の舞台を長く経験してきたストライカーであり、ゴールだけではなく、前線でボールを収める能力や空中戦、味方を生かすプレーでも大きな価値を持つ。

上田とはタイプが完全に同じではない。

上田の大きな武器は、ペナルティーエリア内で相手DFから離れる動きや、クロスに合わせるタイミング、少ないタッチ数でシュートへ持ち込む能力にある。フェイエノールトでも、ボールを長時間保持して攻撃を組み立てるというより、最後の局面でゴール前に現れることによって得点数を伸ばしてきた。

その一方、よりレベルの高い相手との試合が増えるリーグ・アンやチャンピオンズリーグでは、攻撃の起点としての役割や守備時の貢献もさらに要求される可能性がある。

ジルーとの競争は簡単ではないが、異なる特徴を持つ世界的ストライカーの近くでプレーすることは、上田自身の幅を広げる機会にもなる。

そして40歳を迎えるジルーの年齢を考えれば、リールが上田を単なる控えとして約1500万ユーロを投じて獲得するとは考えにくい。今季から一定の出場時間を与えながら、徐々に前線の中心を移行していく構想があっても不思議ではない。

フェイエノールトには得点王の大きな穴

一方で、フェイエノールトにとって上田放出の影響は小さくない。

昨季25得点のストライカーを、シーズン開幕からわずか4試合の時点で失うことになるからだ。

しかも今季もすでに3試合連続得点。上田自身のフォームが落ちたため売却するのではなく、むしろ最高に近い状態で手放すことになる。

フェイエノールトは昨季リーグ2位となり、今季チャンピオンズリーグにも出場する。UEFAも今季のフェイエノールトを紹介する際、上田をチームのキープレーヤーに選び、昨季25得点で2位に8ゴール差をつけて得点王になった実績を強調していた。

その選手が大会開幕前にいなくなる。

フェイエノールトには今夏加入したナチョ・フェリや若手のシャキール・ファン・ペルシーらもいるが、少なくともエールディヴィジでシーズン25得点を保証できるだけの実績を持った選手はいない。

チーム自体も開幕4試合で勝ち点8と、圧倒的なスタートを切っているわけではない。ADO戦でもホームで0-2までリードされ、上田とハジ・ムサの得点でようやく引き分けに持ち込んだ。

得点王を売却するのであれば、残された時間で前線をどう再編するのか。上田の移籍は本人だけでなく、フェイエノールトの今季の優勝争いにも影響する大きな決断となる。

控えFWから得点王へ、最高の状態で次のステップへ

上田のフェイエノールトでの時間を振り返れば、決して最初から順調だったわけではない。

鹿島アントラーズからベルギーのセルクル・ブルッヘへ渡り、2023年夏にフェイエノールトへ加入。加入当初はセンターフォワードの序列争いに苦しみ、限られた出場時間で結果を求められる期間も長かった。

それでも徐々に出場機会を広げ、最終的にはエールディヴィジ得点王まで到達した。

そして昨季25得点を挙げた後もチームに残り、2026-27シーズンの開幕から再びゴールを重ねている。その意味で今回の移籍は、出場機会を求めて環境を変えるものとは性格が異なる。

現在のクラブで結果を出し、リーグ得点王となり、さらに次のシーズンでも得点を続けた上でのステップアップである。

リールもフェイエノールトと同じく今季のチャンピオンズリーグに出場する。つまり上田は欧州最高峰の大会への出場機会を維持しながら、エールディヴィジからリーグ・アンという新たな環境へ挑戦できる。

ADOデン・ハーグ戦で決めた3試合連続ゴールが、本当にフェイエノールトでの最後の一撃となるのか。

メディカルチェックと正式発表を残しているため、現時点ではまだ移籍完了とは言えない。それでもオランダとフランス双方から出ている報道を総合すれば、上田のキャリアが次の段階へ進む日は目前に迫っている。

控えFWとして始まったフェイエノールトでの挑戦を、得点王として終える。そして絶好調のまま、今度はフランスとチャンピオンズリーグでその得点力を証明する。

上田綺世にとって、欧州挑戦の中でも最大級の転機となりそうだ。

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