バレンシア佐藤龍之介、ラ・リーガ2戦目で初フル出場 現地高評価

スペイン

佐藤龍之介がバレンシア加入後、ラ・リーガ2試合目で初のフル出場を果たした。レアル・ベティス戦は0-1で敗れたものの、19歳の日本人アタッカーは積極的にゴールへ向かい、現地メディアからチーム最高評価を受けている。

佐藤龍之介が2試合連続先発、初の90分

バレンシアは8月25日、ラ・リーガ第1節延期分でレアル・ベティスと本拠地メスタージャで対戦し、0-1で敗れた。

佐藤龍之介は2試合連続で先発。加入後初めて90分間ピッチに立ち続けた。

日程上は「第1節」となっているが、佐藤にとってこの試合がラ・リーガデビューだったわけではない。3日前の8月22日に行われたセルタ戦ですでに先発し、57分までプレーしている。

つまり今回のベティス戦は、佐藤にとってラ・リーガ2試合目。そして初のフル出場となった。

試合は終盤まで0-0で進んだが、83分にベティスのパブロ・ガルシアがゴール。バレンシアは最後まで追いつくことができず、今季初黒星を喫した。

セルタ戦も0-0だったため、バレンシアは開幕からホーム2試合で1分1敗。さらに2試合連続無得点と、攻撃面に大きな課題を残している。

そんなチーム状況のなかで、最も積極的にゴールへ向かっていた選手の一人が佐藤だった。

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開始3分からシュート、攻撃で存在感

佐藤は試合開始直後から積極的だった。

ラ・リーガ公式のプレー記録によれば、3分にウーゴ・ドゥロからパスを受け、ペナルティーエリア外から右足でシュート。さらに12分にはエリア内から右足で狙い、GKアルバロ・バジェスにセーブされた。

後半開始直後にも佐藤はゴールへ向かう。

46分には左足で立て続けにシュートを放ち、ベティス守備陣にブロックされた。公式記録から確認できるだけでも4本のシュートを記録しており、バレンシアの中では明らかにフィニッシュへの意識が高かった。

得点もアシストもなかった。

それでも、この数字は佐藤が「無難に90分をこなした」わけではないことを示している。

バレンシアはボールを保持しても相手の守備ブロックを崩せない場面が多かった。そのなかで佐藤はボールを受けるだけで終わらず、自らターンし、ドリブルし、シュートまで持ち込もうとしていた。

終盤にはフィリップ・ウグリニッチのシュートにつながるパスも供給。攻撃の出口だけでなく、味方を使う役割にも関わっていた。

26分にはジュニオル・フィルポへのファウルでイエローカードを受けたが、その後もプレー強度を落とすことなく出場を続けた。

現地メディアはチーム最高「8点」

佐藤のパフォーマンスはスペイン現地でも高く評価されている。

バレンシアを継続的に取材する『ElDesmarque』は、ベティス戦の佐藤に「8点」を付けた。

これはバレンシアの選手の中で単独最高評価である。

同媒体は、佐藤が常にボールを受けようとし、球際でも戦い、攻守の広い範囲に顔を出したことを評価している。

『AS』も佐藤について、攻撃で大胆さを示し、プレーから逃げなかったという趣旨で高評価。バレンシアが作った危険な攻撃の多くに佐藤が関わったと指摘した。

地元メディア『Plaza Deportiva』も採点自体は5点だったが、佐藤を「Incombustible」と表現した。

直訳すれば「燃え尽きない」という意味合いで、サッカーの文脈では「疲れを知らない」「精力的」といった評価になる。同媒体も、佐藤が何度も相手に仕掛け、走り続け、攻撃で最も危険な選手だったと評している。

媒体によって採点基準は異なる。

しかし「積極性」「運動量」「攻撃の危険性」という部分については評価が一致している。

敗戦したチームの19歳が、加入直後のリーグ2試合目でここまで存在感を示していることは軽視できない。

デビュー戦でも高評価、交代時にはブーイング

今回だけ突然評価されたわけではない。

佐藤は8月22日のセルタ戦でラ・リーガデビュー。いきなり先発に抜擢され、57分までプレーした。

この試合でも『ElDesmarque』は佐藤に7点を付け、ハビ・ゲラと並ぶチーム内最高クラスの評価を与えている。

さらに注目されたのが交代時の反応だった。

佐藤がベンチへ下がる際、メスタージャの観客からカルロス・コルベラン監督の交代策に対して不満を示すブーイングが起きた。

加入からまだ1カ月半ほど。

それにもかかわらず、佐藤がピッチを去ることをホームの観客が惜しむ状況が生まれている。

ベティス戦では、その3日前よりさらに起用時間が伸びた。

ウーゴ・ドゥロやアルノー・ダンジュマ、パブロ・マフェオらが途中交代する一方で、佐藤は90分間ピッチに残された。

この起用は、佐藤が単なる「将来有望な19歳」ではなく、すでにコルベラン監督の戦力として計算されていることを示している。

なぜ19歳がこれほど早く主力に入れたのか

佐藤は7月7日にFC東京からバレンシアへ完全移籍した。

契約期間は2031年までの5年間。バレンシア男子トップチームでプレーする史上初の日本人選手となった。

公式には移籍金は発表されていないが、『AS』や『Cadena SER』などスペインメディアは約400万ユーロと報じている。

佐藤にはもともと、日本で積み上げた実績がある。

2025年にはファジアーノ岡山でJリーグベストヤングプレーヤー賞を受賞。2026年前半はFC東京で公式戦19試合6得点1アシストを記録した。

さらにU-23日本代表ではAFC U23アジアカップ優勝に貢献。4得点を挙げて大会得点王とMVPを獲得している。

バレンシア加入後も評価を上げるスピードは速かった。

プレシーズンではエルデンセ戦で加入後初ゴールを決め、開幕前最後のエルクレス戦でも得点。日本から直接スペインへ移籍した19歳に通常求められる「適応期間」をほとんど感じさせないまま、開幕スタメンへ入った。

クラブ側も佐藤を育成年代へ送るのではなく、最初からトップチーム戦力として扱っている。

ここまでの起用を見る限り、その判断はさらに明確になりつつある。

佐藤の強みはポジションに縛られないこと

佐藤の価値を考えるうえで重要なのが、ポジションの幅である。

バレンシア公式は獲得発表時、佐藤について左サイドから中央へ入る形だけでなく、右サイドや中央の攻撃的な位置でもプレーできると紹介している。

実際、佐藤のプレーは典型的なウインガーとは少し違う。

タッチライン際でボールを受けて一対一を仕掛けるだけではない。

相手DFとMFの間に入り、前を向いてボールを受ける。そこから細かいタッチで相手を外し、ゴール方向へ一気に加速する。

セルタ戦では相手最終ラインの背後へ飛び出す動きが目立った。

一方、ベティス戦ではペナルティーエリア周辺でボールを受け、ターンからシュートへ持ち込む場面が多かった。

相手によって危険を作る方法を変えられることは大きい。

特に現在のバレンシアは、攻撃を前進させる役割が不足している。パスを受けてから安全な選択肢を探す選手だけでは、守備を固める相手を崩すことは難しい。

その点、佐藤にはまず前を向く意識がある。

19歳ながらスペインで評価されている理由は、単純なスピードや技術だけではなく、この「攻撃を変化させるプレー」にある。

佐藤は好調、しかしバレンシアは2戦無得点

佐藤が高評価を得ている一方で、チーム全体を見れば状況は楽観できない。

セルタ戦は0-0。

ベティス戦は0-1。

開幕から2試合連続無得点である。

バレンシアにはウーゴ・ドゥロやダンジュマといった経験のある攻撃陣がいるが、現時点では得点につながる形を十分に作れていない。

ベティス戦でも、ボールを持つ時間に対して決定的な場面は少なかった。

だからこそ佐藤の積極性が目立ったとも言える。

これは佐藤にとって好機であると同時に、簡単ではない状況でもある。

周囲が機能しているチームで若手が自由にプレーするのと、得点力不足に陥っているチームで攻撃を動かす役割を任されるのとでは負担が違う。

ベティス戦では19歳の新加入選手がチームの攻撃を牽引するような構図になった。

この状況が続けば、佐藤は想定より早く「期待される若手」から「結果を求められる主力」へ変わっていく可能性がある。

次の課題は90分間の強度

初のフル出場で大きな評価を得た佐藤だが、課題も見えている。

『AS』は、試合時間が進むにつれて佐藤のリズムと強度が落ちた点を指摘した。

これは不思議なことではない。

3日前にラ・リーガデビュー戦で57分プレーし、その直後に再び先発。今回は初めて90分を経験した。

日本とはプレースピードも対人強度も異なる環境で、加入から短期間のうちに高い負荷を受けている。

それでも最後までピッチに残されたこと自体が、監督からの信頼の大きさを示している。

今後の焦点は、試合序盤に見せている鋭さを90分間どこまで維持できるかだろう。

ラ・リーガ挑戦はまだ2試合しか終わっていない。

それでも、2試合連続先発、初フル出場、そして現地メディアのチーム最高評価というスタートは十分にインパクトがある。

バレンシアが無得点で苦しむ今、19歳の佐藤龍之介は早くも攻撃陣の重要な存在になり始めている。

次に求められるものは明確だ。

高評価を、ゴールやアシストという結果へ変えることである。

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