バルセロナ5発大勝、新加入アデイェミ弾&ゴードン2アシスト

スペイン

バルセロナが新シーズンのラ・リーガ初戦でいきなり攻撃力を爆発させた。エルチェを5-0で粉砕し、新加入カリム・アデイェミが公式戦初ゴール。アンソニー・ゴードンも途中出場から2アシストを記録した。王者の大勝以上に印象的だったのは、純粋な「9番」を置かない新たな攻撃が機能したことだ。

バルセロナがエルチェを5-0粉砕

バルセロナは8月23日、ラ・リーガ第2節でエルチェと敵地マルティネス・バレロで対戦し、5-0で大勝した。日程の関係でこれがバルセロナにとって2026-27シーズンのリーグ初戦。3連覇を目指す王者が、初戦から強烈な結果を残した。

先制点が生まれたのは14分だった。チャビ・エスパルトの前線からの働きかけをきっかけにフェルミン・ロペスがボールを前へ運び、ハフィーニャがペナルティーエリア内でビクトル・チュストに倒される。獲得したPKをハフィーニャ自身が決めた。

その後もバルセロナは前線から圧力をかけ、ボールを奪うと素早くゴールへ向かう。前半終了間際には、その形から今夏加入したアデイェミに待望のゴールが生まれた。

後半も勢いは止まらない。67分にハフィーニャがこの日2点目を決めると、71分と79分にはフェルミンが連続得点。最終的に5-0とし、スコア上ではほぼ完璧なスタートとなった。

ハフィーニャが2得点1アシスト、フェルミンが2得点。さらにアデイェミとゴードンという新加入選手も結果を残しており、既存戦力と新戦力の双方が存在感を示した試合だった。

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アデイェミがラ・リーガデビュー戦で公式戦初ゴール

新加入組で最初に結果を出したのがアデイェミだった。

1-0で迎えた前半アディショナルタイム、マルク・ベルナルがボールを奪うと、ラミン・ヤマル、ハフィーニャを経由して一気に相手守備陣の背後へ。そこへ走り込んだアデイェミが仕留め、2-0とした。

アデイェミはプレシーズンでも得点しているため、厳密にはバルセロナ加入後初ゴールではない。ただし、公式戦ではこれが初得点。ラ・リーガのデビュー戦でいきなりネットを揺らしたことになる。

このゴールにはアデイェミを獲得した理由が凝縮されていた。

ドルトムント時代から最大の特徴として知られてきたのが圧倒的なスピードである。相手DFの背後にスペースが生まれた瞬間、一気に加速して最終ラインを突破できる。細かなパス交換だけで守備を崩すのではなく、一度ボールを奪えば数秒でゴール前まで到達できるのがアデイェミの強みだ。

今回の得点も、長時間ボールを回して崩したものではなかった。奪った直後に縦へ進み、ラミン・ヤマルとハフィーニャがボールをつなぎ、その間にアデイェミが背後へ走る。ハンジ・フリックが求める縦への速さと、新加入FWの個性がきれいに噛み合った場面だった。

ゴードンは途中出場からわずかな時間で2アシスト

さらに強烈な印象を残したのが、ニューカッスルから加入したゴードンである。

先発ではなく後半途中からピッチに入ったが、すぐに試合へ入り込んだ。67分にはハフィーニャのゴールをアシスト。さらにわずか4分後、今度はフェルミンの得点を演出した。Reutersも新加入ゴードンが途中出場から2得点をセットアップしたことを、大勝の重要なポイントとして伝えている。

特に印象的だったのがフェルミンへのアシストだ。

ゴードン自身がシュートまで持ち込む選択肢もあったが、より好条件にいたフェルミンへのパスを選択した。新天地で結果を残したい選手であれば、自らゴールを狙いたくなる場面でもある。それでもより確率の高い選択をした点は、バルセロナの攻撃へ適応するうえで重要な要素だろう。

スペイン紙『AS』もゴードンの短時間でのパフォーマンスを高く評価しており、単なる快速ウイングではなく、周囲を使いながらプレーできる点に注目している。

ニューカッスルでは縦への突破やトランジションで威力を発揮してきたゴードンだが、バルセロナでは狭いスペースでの連係や判断力も要求される。その最初のテストで2アシストという結果を出した意味は小さくない。

ハフィーニャを中央に置いた「9番なし」が機能

5得点と同じくらい興味深かったのが、バルセロナの前線の配置である。

フリックはハフィーニャを中央に置き、その周囲でラミン・ヤマルやアデイェミらを動かした。典型的なセンターフォワードを最前線に固定する形ではない。

ハフィーニャは中央に立ち続けるのではなく、中盤方向へ下りたり、サイドへ流れたりする。相手センターバックがその動きについていけば、空いたスペースへ別の選手が走り込める。反対にDFが動かなければ、ハフィーニャ自身がフリーでボールを受けられる。

アデイェミの得点は、まさにこうした流動性が生んだものだった。

スペインでは今夏からバルセロナのセンターフォワード問題が繰り返し論じられてきた。『AS』もエルチェ戦を「9番なし」という視点から大きく取り上げている。

フリック自身も試合後、新しい9番について問われると、今週中に話し合う必要があるとの考えを示し、補強の可能性を完全には否定しなかった。一方で、エルチェ戦の結果には満足感を示している。

つまり5-0で「センターフォワードは必要ない」と結論づける段階ではない。それでも、専門的な9番がいなくても異なる形で大量得点できることを示したのは大きい。

ポゼッション54%でも5得点、フリック色が表れた攻撃

バルセロナの大勝というと、70%近くボールを保持し、相手を自陣へ押し込んだ試合を想像しやすい。

しかしエルチェ戦では少し違った。

ESPNのデータではバルセロナのボール保持率は54%。シュート11本に対して枠内7本、期待得点を示すxGは4.13だった。一方のエルチェはxG0.72にとどまった。

注目すべきなのは、保持率よりもチャンスの質で大きな差をつけた点である。

フリック体制のバルセロナはボール保持を重視しながらも、ボールを奪った後に無理に攻撃を落ち着かせるとは限らない。スペースがあればすぐ縦へ進む。

アデイェミとゴードンの加入によって、その傾向はさらに強まる可能性がある。

2人とも相手守備陣が整っていない状況で最大級の威力を発揮するタイプだ。ラミン・ヤマルやハフィーニャの技術に、2人のスピードが加われば、「ボールを持って崩すバルセロナ」と「奪って一気に攻めるバルセロナ」を使い分けられる。

フリックは試合後、「5得点は素晴らしい」と評価する一方、前半にはボールロストがあり、試合を十分にコントロールできなかった時間帯もあったと指摘した。5-0でも内容に改善点を求める姿勢を見せている。

アデイェミとゴードン加入で激化する攻撃陣の競争

今季のバルセロナで注目されるのが攻撃陣のポジション争いである。

ラミン・ヤマルとハフィーニャという世界トップクラスの既存戦力に、フェルミンやダニ・オルモもいる。そこへアデイェミとゴードンが加わった。

アデイェミはドルトムントから加入。ドイツ代表でもプレーしてきた快速アタッカーで、フリックとはドイツ代表時代から接点がある。ゴードンもプレミアリーグで経験を積み、ニューカッスルではゴールとアシストの両方を記録できるアタッカーとして評価を高めてきた。

タイプの異なる選択肢が増えたことで、フリックは相手や試合展開によって組み合わせを変えられる。

特にゴードンが先発ではなく途中出場から2アシストしたことは重要だ。

長いシーズンでは、最初からベストメンバーを並べられない試合もある。チャンピオンズリーグを含む過密日程ではターンオーバーも不可欠になる。先発選手だけでなく、ベンチから入った選手が試合のテンポをさらに上げられるなら、チーム全体の攻撃力は大きく変わる。

エルチェ戦は、その可能性を最初から示す内容となった。

ガビ負傷は懸念、5-0でも「完成」とは言えない

一方で、大勝の中で唯一と言っていい懸念材料がガビの負傷だった。

前半終了前に右膝を痛め、ペドリとの交代を余儀なくされた。正式な診断結果は試合直後の段階では発表されていない。

フリックは試合後、「待たなければならない」と慎重な姿勢を示しつつ、当初恐れていたほど深刻ではない可能性があるとの見通しも口にした。現時点では具体的な離脱期間などを断定できないため、クラブからの正式な発表を待つ必要がある。

また、5-0という結果だけで新生バルセロナの完成を宣言するのも早い。

エルチェは危険な位置でのミスから速攻を受ける場面があり、バルセロナが得意とするスペースを与えてしまった。より低い位置に守備ブロックを作る相手や、ボールを失っても即座に守備陣形を整えられるトップクラブと対戦した際に、同じ攻撃が機能するかは今後の課題だ。

それでも開幕戦で5得点、新加入アデイェミが公式戦初ゴール、ゴードンが2アシストという結果は十分すぎるスタートである。

そして何より重要なのは、単に新加入選手が活躍しただけではないことだ。

アデイェミの背後へのスプリント、ゴードンの縦への推進力とラストパス、ラミン・ヤマルの創造性、ハフィーニャの流動的な中央起用、フェルミンの二列目からの侵入。それぞれ異なる特徴が組み合わさり、従来とは少し違うバルセロナの攻撃が見え始めた。

「9番不在」はまだ解決したとは言えない。だが、その問題を抱えたままでも5点を奪える。

王者バルセロナにとって、これ以上ない形で新シーズンが始まった。

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