冨安健洋が686日ぶりプレミア復帰 鎌田も先発で活躍もパレス敗戦

イングランド

冨安健洋がついにプレミアリーグへ帰ってきた。クリスタル・パレスのDF冨安はエバートンとの開幕戦で途中出場し、686日ぶりにプレミアのピッチに立った。一方、鎌田大地は先発フル出場。チームは0-2で敗れたものの、日本代表2人が新シーズンの初戦でそろって出場した。

冨安健洋、686日ぶりにプレミアのピッチへ

クリスタル・パレスは8月22日、2026-27シーズンのプレミアリーグ第1節でエバートンと敵地で対戦した。

冨安はベンチスタート。出番が訪れたのは後半だった。

0-2で迎えた69分、3バックの一角として先発していたチャディ・リアドが、ティエルノ・バリーのシュートを阻止しようと足を伸ばした際に膝を痛めた。クラブ公式の実況でも、リアドが膝をひねったように見え、担架を必要とした状況が記録されている。

そして72分、背番号17の冨安がピッチへ。パレス公式は交代の際に「Palace debut」と紹介しており、これが加入後初の公式戦出場となった。

冨安がプレミアリーグで最後にプレーしたのは、アーセナル時代の2024年10月5日に行われたサウサンプトン戦である。

そこから数えて686日。

時間だけを見ても長いが、冨安がその間に歩んだ道を考えれば、今回の約20分が持つ意味はさらに大きい。

スポンサーリンク

わずか6分のシーズン、手術、アーセナル退団

アーセナル時代の冨安は、能力の高さを評価されながらも負傷に苦しみ続けた。

特に2024-25シーズンは深刻だった。プレミアリーグでプレーできた時間はわずか6分。2025年2月には膝の手術を受け、長期離脱を余儀なくされた。

2021年にボローニャからアーセナルへ加入した冨安は、右サイドバックだけでなく左サイドバック、センターバックでもプレーできる守備の万能選手としてミケル・アルテタ監督から重用された。

対人守備の強さ、左右両足を使ったビルドアップ、戦術理解力。トップレベルで戦うための能力は示していた一方、継続して起用できないことが最大の問題となった。

最終的に2025年7月、アーセナルとの契約を双方合意で解除。一時はプレミアリーグの舞台から離れることになった。

それだけに今回の復帰は、新天地での単なるデビューではない。

負傷によってキャリアの流れを止められた選手が、再び世界最高峰のリーグまで戻ってきた瞬間なのである。

アヤックスを経て、再びイングランドへ

アーセナル退団後、冨安はすぐにプレミアのクラブへ移籍したわけではなかった。

2025年12月にアヤックスへ加入し、まずは実戦に戻るための時間を確保した。オランダでコンディションと試合感覚を取り戻しながら出場機会を積み、日本代表にも復帰。2026年にはワールドカップの舞台にも戻った。

そして今夏、クリスタル・パレスが冨安を獲得した。

その流れを考えれば、パレス加入は単に所属クラブを変えたという話ではない。アヤックスで実戦復帰し、代表レベルまで戻し、その先に再びプレミアリーグへ挑戦するという段階的なキャリア再建だった。

エバートン戦でその最後の扉が開いたことになる。

686日という数字には、手術やリハビリだけでなく、再びプレミアで戦える状態まで自分を戻してきた時間が詰まっている。

リアドの負傷で突然訪れた出番

冨安のパレスデビューは、予定された顔見せ出場ではなかった。

リアドの負傷というアクシデントを受けて急きょ投入されたものである。

試合はすでにエバートンが2点をリードしていた。42分にキアナン・デューズバリー=ホールが先制し、53分にはバリーが追加点。パレスは多くのチャンスを作りながら、それを得点につなげられなかった。クラブ公式の記録でも最終スコアは0-2となっている。

一方で、内容まで完全な一方的展開だったわけではない。

FotMobによるとパレスのボール支配率は58%、シュート11本、xGは2.04。エバートンのxG1.16を上回っていた。英国主要メディアもパレスが序盤からチャンスを逃したことを敗因の一つとして挙げている。

冨安はそうした2点を追う展開で3バックへ入った。

短い出場時間だったため、個人スタッツだけで出来を判断するのは早い。それでも重要なのは、守備陣にアクシデントが起きた際に、ピエール・サージュ監督が冨安をそのまま投入できたことである。

長期離脱から戻ってきた選手にとって、「出場できた」ことに加えて「必要なときに戦力として使われた」という点も小さくない。

パレスの3バックは冨安に合うのか

今後を考えるうえで注目したいのが、パレスの3バックと冨安の相性である。

エバートン戦の先発3バックはジェイディー・カンヴォ、クリス・リチャーズ、リアド。冨安はリアドの代役として投入された。

冨安の特徴は、特定の一つのポジションだけを専門にするタイプではないことだ。

アーセナルでは右サイドバックを主戦場としながら、左でもセンターでもプレーした。4バックでこれだけ複数の役割をこなせる選手なら、3バックではさらに使い道が広がる。

右のセンターバックとして前へ出て守ることもできる。左に置けばビルドアップ時に内側へ入りながらボールを動かせる。試合展開によって4バックへ移行する場合にも対応できる。

つまり冨安にとって重要なのは、一つのポジションで誰かから定位置を奪うことだけではない。

バックラインの複数ポジションで「困ったときに使える選手」になることが、出場時間を増やす近道になる。

今回のように負傷者が出た場面ですぐに投入されたことは、その第一歩とも考えられる。

リアド負傷で先発チャンスは広がるか

今後の焦点は、早くも次の出場機会に移る。

リアドは69分に膝を痛め、担架で運び出された。英国メディアも試合後、サージュ監督の初戦においてリアドの膝の負傷が大きな懸念材料になったと伝えている。

ただし現時点では、リアドの正式な診断や離脱期間は確定していない。

そのため「次節は冨安が先発する」と断定することはできない。

それでもリアドが欠場する場合、今回その代役としてピッチへ入った冨安が先発候補になるのは自然な流れだろう。

もちろん、プレミアリーグで再び定位置をつかむのは簡単ではない。パレスにも複数のセンターバックがおり、シーズンを通して競争は続く。

だからこそ冨安にとって最大のテーマは、一度の好パフォーマンスではなく「稼働し続けること」になる。

アーセナル時代も問題だったのは、能力以上に負傷によって継続出場できなかったことだ。

毎週のトレーニングをこなし、メンバーに入り、出番が来ればプレーする。その積み重ねこそが、冨安のプレミア完全復活につながっていく。

鎌田大地は先発フル出場、攻守で存在感

冨安の復帰戦では、もう一人の日本代表選手である鎌田大地も存在感を示した。

鎌田はアダム・ウォートンと中盤を組んで先発し、フル出場。サージュ監督のプレミアリーグ初戦でもスタメンを任された。

特に目立ったのが、前線へボールを届ける場面だった。

前半にはエバートン最終ラインの背後へ柔らかなボールを送り、ダニエル・ムニョスが走り込んで決定機を迎えた。クラブ公式実況も鎌田のボールを起点としたこの場面を大きなチャンスとして記録している。さらに終盤には鎌田のクロスからアナン・ハライリが折り返し、カンヴォのシュートにつながった。

データサイトFotMobでも鎌田は7.5の評価を獲得している。0-2という敗戦の中でも、ボールを受けて試合を組み立てながら攻撃のきっかけを作ったことが数字にも反映された形だ。

一方で30分にはイエローカードも受けており、完璧な内容だったわけではない。

それでも重要なのは、新体制の開幕戦で90分を任されたことである。

鎌田はオリヴァー・グラスナー体制でパレスの中心選手の一人となったが、監督が変われば序列が再構築される可能性もある。その中でサージュ監督が開幕から鎌田をウォートンと並べ、最後までピッチに残したことは、新体制でも重要な戦力として見られていることをうかがわせる。

そして72分以降は、冨安と鎌田がパレスのユニフォームで同じピッチに立った。

今季は冨安が守備からボールを運び、その先で鎌田が攻撃を組み立てるという、日本代表でもおなじみの2人による連係がプレミアリーグで見られる可能性もある。

686日ぶりの復帰、本当の勝負はここから

パレスは開幕戦を0-2で落とした。

チームとしては悔しいスタートであり、冨安自身も短時間の出場だけで何かを成し遂げたわけではない。

それでも、2024年10月を最後に遠ざかっていたプレミアリーグのピッチへ再び立ったという事実は大きい。

わずか6分しかプレーできなかったシーズンがあり、膝を手術し、アーセナルを退団した。アヤックスで一から実戦復帰し、日本代表へ戻り、そして再びイングランドへたどり着いた。

686日ぶりの復帰はゴールではない。

むしろここからが冨安にとって本当の勝負である。

リアドの状態次第では、想定より早く先発の機会が訪れる可能性もある。そこでプレーし、次の試合にも出場し、さらにその次にもメンバーへ入る。その繰り返しができれば、冨安は再びプレミアリーグで主力を争うところまで戻れる。

まずは約20分。

長く止まっていたプレミアでの時計が、ようやく再び動き始めた。

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました