高井幸大はベンチ外、トッテナム開幕戦0-3惨敗

イングランド

高井幸大のプレミアリーグデビューは開幕戦では実現しなかった。トッテナム・ホットスパーはブレントフォードに0-3で完敗。高井はベンチにも入らず、新シーズンは厳しいスタートとなった。

高井はベンチ外、トッテナムは敵地で3失点

2026-27シーズンのプレミアリーグ第1節が8月22日に行われ、トッテナムは敵地Gtechコミュニティ・スタジアムでブレントフォードと対戦。0-3で敗れた。

日本代表DF高井幸大は先発を外れただけでなく、9人のベンチにも入らなかった。昨季途中にボルシアMGへ期限付き移籍し、今夏トッテナムへ戻ってきた高井にとって、プレミアリーグでの初出場は次戦以降へ持ち越しとなった。トッテナムが8月20日に公表した今季の背番号一覧では、高井には昨季と同じ25番が与えられている。

試合は開始直後からブレントフォードのペースだった。12分、新加入ママドゥ・サンガレが左サイドから折り返すと、キーン・ルイス・ポッターが仕留めてホームチームが先制。32分にはGKアントニン・キンスキーが一度シュートを防いだものの、こぼれ球をビタリー・ヤネルトに押し込まれた。

トッテナムは前半、枠内シュートを1本も記録できないまま0-2で折り返した。

ロベルト・デ・ゼルビ監督はハーフタイムにマテウス・フェルナンデスとロドリゴ・ベンタンクールを投入したが、流れは変わらない。後半開始からわずか4分、CKの流れから最後はマイケル・カヨデに決められ、0-3となった。

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0-3以上の差、PK失敗にも救われる

スコアだけを見ても完敗だが、実際の試合内容はさらに厳しかった。

55分にはベンタンクールのファウルでブレントフォードがPKを獲得。イゴール・チアゴのキックはポストを叩いたため4点目こそ入らなかったが、トッテナムにとってはさらに大差で敗れていても不思議ではない展開だった。

Sky Sportsのデータによると、ブレントフォードのシュート数は26本で、トッテナムは9本。枠内シュートも8対4とホームチームが上回った。

さらに差が顕著なのがゴール期待値のxGである。ブレントフォードが3.96だったのに対し、トッテナムはわずか0.47。相手ペナルティーエリア内でのボールタッチも40対18だった。

興味深いのはボール保持率である。トッテナムは58.9%とブレントフォードの41.1%を大きく上回っている。

つまり、ボールを持てなかったから敗れたわけではない。ボールを保持しながら相手守備を崩せず、自分たちが失った瞬間にはブレントフォードの速い攻撃を止められなかった。

デ・ゼルビが志向するポゼッションを軸としたサッカーにとって、「保持率は高いのに決定機を作れない」という状態は最も避けたい展開の一つである。

大型補強の新チーム、完成度の差が露呈

トッテナムは今夏、積極的な補強を進めてきた。

ブレントフォード戦ではヤン・ポール・ファン・ヘッケ、マルコス・セネシ、アンディ・ロバートソン、サンドロ・トナーリの新加入4選手が先発。後半からはマテウス・フェルナンデスも投入され、5人の新戦力が公式戦デビューを飾った。

しかし、個々の能力とチームとしての完成度は別問題である。

Reutersは、今夏大規模な投資を進めたトッテナムが、継続性のあるブレントフォードを相手にまとまりを欠いたことを指摘。昨季まで2シーズン連続17位だったチームの問題が、開幕戦でも解消されなかったという厳しい論調で伝えている。

特に目立ったのは、ボールを失った後の対応だった。

ブレントフォードはセカンドボールへの反応が速く、トッテナムが前へ人数を掛けた後のスペースも効果的に使った。一方のトッテナムは、前線、中盤、最終ラインの距離が開く場面があり、相手に簡単に前進を許した。

開幕前最後のホッフェンハイム戦では3-0で勝利し、新加入選手を含めたチームに期待感も生まれていた。それだけに、本番のプレミアリーグで突きつけられた完成度の差は小さくない。

高井より先に4人のCBがメンバー入り

日本のファンにとって気になるのは、高井がなぜベンチにも入らなかったのかという点である。

この試合でセンターバックとして先発したのは、新加入のファン・ヘッケとセネシだった。

さらにベンチにはベン・デイヴィスとケヴィン・ダンソが入っている。つまり少なくとも開幕戦のメンバー選考では、高井より先に4人のセンターバックが選ばれたことになる。

しかも、今季の主将に任命されたミッキー・ファン・デ・フェンはこの試合を欠場している。トッテナムは試合前、ファン・デ・フェンがプレシーズン中の小さな問題から調整を続けているため、ブレントフォード戦には出場しないと説明していた。

ファン・デ・フェンが復帰すれば、高井の競争はさらに激しくなる。

ただし、ここで「高井は構想外」と結論づけるのは早い。

トッテナムが公表したブレントフォード戦前の負傷者情報では、高井について具体的な説明はなかった。現時点でクラブやデ・ゼルビが高井のベンチ外理由を明らかにした事実も確認されていない。

したがって、「負傷ではなく序列だけが理由だった」と断定することもできない。確認できるのは、開幕戦で高井がメンバー外となり、ファン・ヘッケ、セネシ、ダンソ、デイヴィスが選ばれたという事実までである。

昨季はボルシアMGへ、高井が歩んだ遠回り

高井は2025年夏、川崎フロンターレからトッテナムへ加入した。契約は2030年までとなっている。

しかし、加入直後は負傷の影響もあって出場機会を得られず、2026年1月にはボルシアMGへの期限付き移籍が決定した。トッテナム公式も当時、高井が負傷から復帰したばかりだったことを説明している。

ドイツで実戦経験を積み、今夏は再びトッテナムへ戻った。

プレシーズンではニュージーランド、オーストラリア遠征の35人にも選出され、高井はトップチームの一員として新シーズンへ向けた準備を進めていた。

一方で、シーズン開幕が近づくにつれてセンターバックの競争環境は大きく変化した。

ファン・ヘッケとセネシという即戦力が新たに加入。8月15日のホッフェンハイム戦では両者を含む新加入DFが起用された一方、高井に出場機会はなかった。

そして1週間後のプレミアリーグ開幕戦ではベンチ外となった。

この流れを見る限り、少なくとも現時点で高井がレギュラー争いの先頭にいるとは考えにくい。ただし、21歳の日本代表DFに対するクラブの長期的な評価と、開幕時点の短期的な序列は分けて考える必要がある。

3失点でも「高井を使えば解決」とはならない

トッテナムが3失点したことで、「高井にもチャンスがあるのではないか」という見方は当然出てくる。

ただし、今回の敗戦をセンターバック2人だけの問題として考えるのは適切ではない。

1失点目ではブレントフォードに中盤からスムーズに前進され、2失点目も前線でボールを収められなかったところから一気に攻め込まれている。3失点目はセットプレーの流れだった。

最終ラインだけを入れ替えて解決できる問題ではなく、中盤の守備強度、ボールロスト後の切り替え、前線からの守備、セットプレー対応などチーム全体に修正点がある。

むしろ高井にとって重要なのは、デ・ゼルビが求める守備を理解しながら、自分の特徴を示せるかだろう。

高井は対人守備の強さに加え、ボールを持った際に前へ運べるセンターバックである。後方からのビルドアップを重視するデ・ゼルビのスタイルとは理論上相性の良い部分もある。

一方、プレミアリーグでは相手FWとのフィジカルコンタクト、広大なスペースを守るスピード、セットプレー対応なども高い水準が求められる。ここで信頼を勝ち取れるかが、出場機会を得るためのポイントになる。

開幕戦ベンチ外は結論ではない、高井の勝負はここから

トッテナムにとって、ブレントフォード戦は最悪に近いシーズンスタートとなった。

大型補強を行い、デ・ゼルビ体制で上位復帰を狙うチームが、シュート26本、xG3.96を相手に許して0-3。クラブ公式も「新しいチームは試合に入り切れず、ブレントフォードが早い段階から主導権を握った」と振り返っている。

高井にとっても、開幕戦ベンチ外という事実は決して軽くない。

ファン・ヘッケ、セネシ、ダンソ、デイヴィスが先にメンバーへ入り、さらにファン・デ・フェンの復帰も控えている。プレミアリーグでポジションを確保するためには、非常に厳しい競争を勝ち抜く必要がある。

それでも背番号25は今季も与えられ、公式のトップチーム登録メンバーにも名前がある。開幕戦のメンバー外だけで、トッテナムでの挑戦が終わったわけではない。

むしろ0-3という完敗によって、デ・ゼルビが今後メンバー構成に変化を加える可能性はある。

高井に必要なのは、その機会が訪れたときに逃さないことだ。

プレミアリーグ開幕戦ではピッチにもベンチにも立てなかった。しかし、新生トッテナム自体がまだ完成から遠いことも、この90分ではっきりした。高井の本当の勝負も、ここから始まる。

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