昇格組ハルシティがマンUに2-0撃破、守田英正は怪我でメンバー外

イングランド

守田英正が加入したハル・シティが、プレミアリーグ復帰初戦でマンチェスター・ユナイテッドを2-0で撃破した。守田はメンバー外となったものの、昇格組ハルはセットプレーと強固な守備で大番狂わせを起こした。

昇格組ハルがマンチェスター・ユナイテッドを2-0撃破

2026-27シーズンのプレミアリーグ開幕節が8月22日に行われ、ハル・シティは本拠地MKMスタジアムでマンチェスター・ユナイテッドと対戦。前半に奪った2点を守り切り、2-0で勝利した。

9年ぶりにプレミアリーグへ戻ってきたハルにとって、これ以上ないスタートである。マンチェスター・ユナイテッドからリーグ戦で白星を挙げるのは1974年以来、実に52年ぶりだった。さらにユナイテッドにとっては、リーグ開幕戦で昇格クラブに敗れる初めてのケースとなった。

日本のファンにとって注目されたのは、今夏スポルティングCPからハルへ加入した日本代表MF守田英正だった。しかし守田は先発だけでなくベンチにも入らず、待望のプレミアリーグデビューは次戦以降へ持ち越しとなった。ハルの中盤ではマット・クルックスとレガン・スレーターが先発している。

もっとも、守田がいないハルは決して受け身になるだけではなかった。序盤からユナイテッドの弱点を明確に突き、プレミア復帰戦とは思えないほど割り切った戦い方で勝点3を手にした。

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アジャイとメンディ、セットプレー2発で試合を決める

ハルが最初に試合を動かしたのは17分だった。

コーナーキックからオリー・マクバーニーがゴールを狙うと、ユナイテッドGKセネ・ラメンスがセーブ。しかし、こぼれ球に反応したセミ・アジャイが押し込み、ホームチームが先制した。

さらに38分、ハルは再びセットプレーからユナイテッドを仕留める。スレーターがFKをゴール前へ送り込むと、ノーベル・メンディが高い打点から強烈なヘディングシュート。ラメンスを破って2点差とした。

得点したのがアジャイとメンディという2人のDFだったことも、この試合を象徴している。

ハルは流麗なパスワークで相手を崩すのではなく、自分たちの高さ、フィジカル、セットプレーの精度を最大限に利用した。戦力差を考えれば、正面からユナイテッドと殴り合う必要はない。勝てる局面を限定し、その局面で徹底的に優位を作る。それがセルゲイ・ヤキロヴィッチ監督の選択だった。

72%保持でも崩せず、ユナイテッドに厳しい現実

スコア以上に興味深いのが試合内容である。

マンチェスター・ユナイテッドはボールを保持する時間では圧倒した。ポゼッションは72%に達したが、それでもハルの守備を崩す明確な答えを見つけられなかった。

ユナイテッドはアンドレイ・サントスとユーリ・ティーレマンスを中盤に配置し、ブルーノ・フェルナンデス、ブライアン・ムベウモ、マテウス・クーニャらが先発。後半にはマーカス・ラッシュフォード、ベンヤミン・シェシュコ、コビー・メイヌーも投入した。

それでも最後までゴールを奪えなかった。

決定機らしい決定機は78分、中央からムベウモが放ったシュートだったが、ハルGKコンスタンティノス・ツォラキスがセーブ。ツォラキスはこの試合で5セーブを記録し、クリーンシートに貢献した。

ボールを持っているチームと、試合を自分たちの望む形へ運んでいるチームは必ずしも同じではない。ハルは後者だった。

ハルが見せた「昇格組らしい」現実的な勝ち方

ハルは守備時に人数をかけ、低い位置でスペースを消した。

守田が所属しているという視点だけでなく、プレミア残留を目指すチームとして考えた場合、この勝利には非常に大きな意味がある。

昇格クラブがプレミアの上位候補と毎試合ボール保持率を競うのは現実的ではない。必要なのは、相手に持たれても崩れないこと、セットプレーを得点源にすること、そして少ないチャンスを確実にスコアへ変えることである。

主将ルーイ・コイルも試合後、ハルには低い守備ブロックでどう守るかという共通理解があることを強調した。ヤキロヴィッチ監督のチームは、単純にゴール前へ引きこもったわけではない。どこで競り、どこでセカンドボールを回収し、ボールを奪った後にどう前線へ逃がすかまで整理されていた。

前線のマクバーニーも重要だった。ロングボールを収め、相手DFと競り合い、ハルが守備一辺倒になることを防いだ。

派手さはなくても、残留を目指すチームにとって再現性のある戦い方である。

守田英正はなぜメンバー外だったのか

では、守田はなぜこの重要な開幕戦でメンバーに入らなかったのか。

現時点で「序列争いに敗れた」と考えるのは早い。

守田はハル加入時からふくらはぎに問題を抱えており、プレシーズンの実戦に参加できない期間が続いていた。開幕直前になってようやくチームトレーニングへ復帰。ヤキロヴィッチ監督も8月20日の段階で、状態次第ではマンチェスター・ユナイテッド戦でベンチ入りする可能性があると説明していた。

つまり、守田は開幕戦出場へ向けてぎりぎりの調整を続けていたことになる。

一方で、実際に発表された試合登録メンバーに守田の名前はなかった。ベンチにはルーカス・グルナ・ドゥアトら中盤で起用できる選手も入り、最終的には守田を無理に組み込まない判断となった。

クラブから今回のメンバー外について新たな負傷などが正式発表されたわけではない。そのため「負傷悪化による欠場」と断定するのは適切ではない。これまでの経緯を考えれば、ふくらはぎの問題から復帰する過程で慎重にコンディションを整えていると見るのが妥当だろう。

守田不在で結果を出したクルックスとスレーター

守田にとって興味深い状況になったのは、ハルが開幕戦に敗れたからではなく、逆に強豪相手に完璧に近い結果を出したからである。

中央ではクルックスとスレーターが先発した。

特にスレーターは、メンディが決めた2点目のFKを供給。守備ではユナイテッドの中盤に自由を与えず、チーム全体のハードワークを支えた。

サッカーでは勝ったチームを急いで変更する必要はない。しかも相手はマンチェスター・ユナイテッドである。ヤキロヴィッチ監督にしてみれば、このコンビがプレミアでも戦えることをいきなり確認できた形になる。

だからこそ、守田がコンディションを戻したとしても「日本代表だから即先発」という状況になるとは限らない。

ただし、これは守田にとって単純な逆風とも言い切れない。

クルックスとスレーターが守備強度やデュエルでチームの基準を作ったことで、守田には別の役割で違いを作る余地が生まれているからだ。

守田だから加えられる「ボールを持つ時間」

マンチェスター・ユナイテッド戦の戦い方だけで、38試合を乗り切ることはできない。

ハルがプレミア残留を果たすためには、自分たちから試合を動かさなければならない相手との対戦でも勝点を取る必要がある。

そこで守田の価値が大きくなる。

スポルティングCPで守田が評価されてきた理由は、単純なボール奪取能力だけではない。味方との距離を見ながら適切な位置へ動き、相手のプレスをかわし、縦パスを入れ、必要ならテンポを落とす。攻撃と守備の間をつなぐ能力に強みがある。

ハルが今回のように低い位置で守る試合では、デュエル能力や高さが重視されやすい。しかし同格や残留争いのライバルとの直接対決では、ボールを保持した状態からどう前進するかが問われる。

そこで守田をクルックスやスレーターのどちらかと組ませれば、中盤の性格を変えられる。

守田が加入した意味は、既存の中盤選手を完全に押しのけることではなく、ヤキロヴィッチ監督が試合展開によって選べる選択肢を増やすことにあるのかもしれない。

52年ぶりの大金星、守田のプレミアデビューにも注目

ハルにとってマンチェスター・ユナイテッド撃破は、単なる開幕戦の勝点3以上の価値を持つ。

プレミア復帰前には残留争いが濃厚と見られ、英紙『Guardian』のシーズンプレビューでも厳しい評価を受けていた。そうした昇格組が初戦でユナイテッドを2-0で破り、「このカテゴリーでも戦える」という自信を手にしたのである。

アジャイも試合後、周囲の評価に左右されることなく、自分たちは結果を出せると信じていると強調した。主将コイルも「人数合わせのためにここにいるわけではない」という趣旨の言葉でプレミアに挑む姿勢を示している。

そして、そのチームにはまだ守田が加わっていない。

ハルが守田抜きでも強豪を倒せたという事実は、本人にとって競争が待っていることを意味する。一方で、シーズン全体を考えれば守田の経験と戦術理解度が必要になる場面は間違いなく出てくるだろう。

開幕戦ではメンバー外となったが、直前にはチーム練習へ復帰している。まず注目されるのは、8月25日のリーグカップ、ストーク・シティ戦、そして29日のプレミアリーグ第2節コヴェントリー・シティ戦で登録メンバーに入るかどうかだ。

プレミア復帰初戦でいきなりマンチェスター・ユナイテッドを倒したハル。その勢いの中に守田がどのように組み込まれるのか。日本代表MFにとってのプレミアリーグ挑戦は、ここから本格的に始まることになる。

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