フェイエノールトの日本代表FW上田綺世が、2026-27シーズンのエールディヴィジで今季初ゴールを決めた。ゴー・アヘッド・イーグルス戦で豪快なダイビングヘッドを突き刺しただけでなく、先制点もアシスト。昨季25得点でリーグ得点王に輝いたストライカーが、開幕2試合目で早くも結果を残した。
一方、フェイエノールトは2点を先行しながら後半に追いつかれ、試合は2-2で終了。上田個人にとっては今季への期待を高める一戦となったが、チームとしては課題も残る結果となった。
上田綺世が豪快ヘッドで今季初ゴール
現地時間8月16日に本拠地デ・カイプで行われたエールディヴィジ第2節。フェイエノールトはゴー・アヘッド・イーグルスと対戦し、上田はセンターフォワードとして開幕から2試合連続で先発した。日本代表DF渡辺剛も最終ラインに入っている。
試合が動いたのは32分だった。
フェイエノールトが敵陣で攻撃を組み立てると、上田がジヴァイ・ゼヒールの先制点をアシスト。昨季はフィニッシャーとしての数字が際立った上田だが、この日はまず味方のゴールを生み出す役割で結果を残した。
そして38分、今度は上田自身がネットを揺らす。
右サイドからアニス・ハジ・ムサがクロスを送ると、上田は中央へ勢いよく飛び込み、頭で合わせた。相手GKが反応するのが難しいコースへ突き刺すダイビングヘッド。上田らしいペナルティーエリア内での動きから、今季リーグ戦初ゴールが生まれた。
開幕節のスパルタ・ロッテルダム戦ではゴールを奪えなかっただけに、シーズン2試合目で得点という結果を残したことは大きい。
1ゴール1アシストも、フェイエノールトは2-2
前半を2-0で終えた時点では、フェイエノールトがそのまま勝利へ向かうようにも見えた。
しかし後半、試合の流れは変わった。
63分にゴー・アヘッド・イーグルスのセーレン・テングステットが1点を返すと、80分にはステファン・シグルザルソンが同点ゴール。フェイエノールトは前半に築いた2点のリードを失い、2-2で勝点1を分け合う結果となった。
上田にとっては今季初ゴールに加えてアシストも記録する充実した試合だっただけに、チームとして勝利につなげられなかった点は悔しさが残る。
開幕戦ではスパルタを1-0で下していたフェイエノールトだが、第2節で早くも勝点を落とした。優勝争いを考えれば、2点を先行したホームゲームを勝ち切れなかったことは軽視できない。
ただし、攻撃陣に目を向ければ、エースである上田が早い段階でゴールを記録したことは明確なプラス材料である。
昨季25得点の得点王、今季は「追われる立場」に
上田に対する期待がこれまで以上に高い理由は、昨季残した数字にある。
2025-26シーズンのエールディヴィジで、上田は25得点を記録。リーグ得点王に輝き、ウィリー・ファン・デル・カイレン・トロフィーを獲得した。2位に8ゴール差をつける堂々たる成績であり、フェイエノールトの得点源として存在感を確立した。
特に昨季序盤の勢いは強烈だった。
最初の15節だけで18得点を積み上げ、一気に得点ランキングをリードした。一方でシーズン途中には長いノーゴール期間も経験している。それでも最終的に25得点まで数字を伸ばしたことは、調子を落とした時期を乗り越えてシーズンを完走した証明でもある。
今季は立場が違う。
以前の上田は「フェイエノールトで先発を勝ち取れるのか」という視点で見られる選手だった。しかし昨季得点王となった現在、基準は「何点取れるのか」に変わった。
相手クラブからの警戒も当然強くなる。
センターバックが上田へのクロスを最優先で消す、ペナルティーエリア内で自由に動かせないようにする。昨季より厳しいマークを受ける可能性がある中で、同じように数字を積み上げられるかが今季の大きなテーマになる。
そうした意味でも、第2節で最初の1点が生まれた意味は小さくない。
ハジ・ムサのクロスと上田の動きは強力な武器
今回のゴールには、今季のフェイエノールトが上田をどう生かすべきかというヒントも詰まっていた。
得点をアシストしたのは右ウイングのアニス・ハジ・ムサである。
ハジ・ムサが右サイドでボールを持ち、相手DFの注意を引きつける。そのタイミングで上田が中央へ侵入し、クロスに合わせる。極めてシンプルな攻撃ではあるが、上田の特徴を生かすうえでは非常に重要な形である。
上田の最大の武器は、ボールを持って何人ものDFを抜くことではない。
ゴール前で相手の視界から一度消し、クロスが入る瞬間に一歩前へ出る。ニアへ走るのか、中央に残るのか、あるいはファーへ流れるのかを瞬間的に判断する。こうしたストライカー特有の動きが得点につながる。
今回のダイビングヘッドも、その特徴が分かりやすく表れた場面だった。
フェイエノールトが上田から20得点前後を引き出したいのであれば、本人に難しい仕事を増やすより、ハジ・ムサらサイドの選手がペナルティーエリアへ質の高いボールを供給する回数を増やす方が効果的だろう。
「上田が何かを作る」のではなく、「上田が最後に仕留める状況をチームが作る」。
昨季得点王を最大限に生かすには、この考え方が重要になる。
ファン・ブロンクホルスト体制でも9番は上田
フェイエノールトは今季、指揮官も変わっている。
クラブは6月、ジョバンニ・ファン・ブロンクホルストの監督復帰を正式発表した。新監督との契約は2年間で、さらに1年間の延長オプションが付いている。
監督交代はストライカーの立場にも大きな影響を与える。
どれだけ前シーズンに得点していても、新指揮官が異なるタイプのFWを求めれば序列は変化する。しかし上田は開幕戦から2試合続けてセンターフォワードとして先発している。
少なくともシーズン序盤の起用を見る限り、ファン・ブロンクホルスト体制でも上田はフェイエノールトの重要な9番である。
さらに第2節では1ゴール1アシスト。
新監督にとっても、昨季25得点のストライカーを軸として攻撃を構築する理由は十分にある。
一方でチーム全体を見れば、ゴー・アヘッド・イーグルス戦で2-0から追いつかれたように、攻守のバランスには改善余地がある。上田が得点しても勝点3を取れなければ、リーグ優勝を狙うクラブとしては十分ではない。
エースの得点力と、チームとしてゲームを管理する力。その両方を高める必要がある。
移籍報道が続く中で残した今季初ゴール
上田を巡っては今夏、移籍市場でも動向が注目されている。
オランダメディア『Voetbal International』は、トルコのフェネルバフチェが上田獲得に向けて具体的なオファーを提示したと報じている。同媒体によれば、フェイエノールトも条件次第では話し合いに応じる姿勢だという。
一方、ブライトンやリーズからの関心も伝えられてきたが、こちらは具体的な移籍交渉には発展していないとされる。
重要なのは、現時点で上田の移籍が公式決定したわけではないという点である。
そして実際、フェイエノールトはリーグ戦で上田を先発起用し続けている。
昨季25得点のストライカーを簡単に手放す理由はない。一方、十分に大きなオファーが届けば、クラブが売却を検討する可能性はある。この両方が成立するため、移籍市場が閉じるまでは去就が注目され続けることになる。
そんな状況で結果を残したことは、上田自身にとっても意味がある。
フェイエノールトに残るのであれば、再び得点王を争うためのスタートとなる。移籍が実現する場合でも、昨季だけの一時的な活躍ではなく、新シーズンでも得点を続けていることを示せるからだ。
連続得点王へ、上田綺世の新シーズンが始まった
昨季25得点でエールディヴィジ得点王。
その数字を残した翌シーズンは、上田にとって新たな試練になる。
相手から研究され、マークも厳しくなる。監督も代わった。さらに移籍市場では去就についてさまざまな報道が出ている。それでも開幕2試合目で今季初ゴールを決め、さらにアシストまで記録した。
特に印象的だったのは、その得点が上田らしい形だったことである。
サイドからクロスが入る瞬間を見逃さず、ゴール前へ飛び込んで頭で仕留める。昨季何度も見せたストライカーとしての強みは、新シーズンになっても変わっていない。
もちろんフェイエノールトとしては、2-0から2-2へ追いつかれた結果を歓迎することはできない。守備や試合運びを含め、チームには修正すべき点が残った。
それでも昨季得点王の9番が早くも動き出したことは、今季のフェイエノールトにとって重要なニュースである。
25得点を記録した昨季を再現できるのか。それとも、さらにその数字を上回るのか。
上田綺世の2026-27シーズンが、本格的に始まった。

