19歳 佐藤龍之介が加入後2ゴール目 現地紙高評価で開幕先発へ前進

スペイン

バレンシアの佐藤龍之介が、加入後2ゴール目を決めた。19歳の日本代表MFはプレシーズン最終戦で先発し、得点だけでなく攻撃の中心として存在感を発揮。スペイン現地紙からも高い評価を受け、ラ・リーガ開幕時のスタメン候補として急速に立場を高めている。

佐藤龍之介がプレシーズン2ゴール目

バレンシアは8月13日、プレシーズン最後のテストマッチでエルクレスと対戦し、2-0で勝利した。

その一戦で大きな存在感を示したのが佐藤龍之介である。

0-0で迎えた後半、まず48分にハビ・ゲラが先制。そして55分、佐藤が追加点を奪った。バレンシア公式によると、ハビ・ゲラやウーゴ・ドゥロらが絡んだ攻撃から佐藤がゴール前へ抜け出し、低いシュートを左隅へ流し込んだ。佐藤は先発から70分までプレーしている。

これで佐藤はバレンシア加入後、プレシーズンで2得点目となった。

最初のゴールは7月22日のエルデンセ戦。加入後初めて実戦に出場した試合でいきなり得点を記録しており、プレシーズン最初期から結果を残していた。

重要なのは、今回がプレシーズン最後の試合だったことだ。

新加入直後のテスト的な起用で結果を残しただけではない。開幕を間近に控え、カルロス・コルベラン監督が主力に近いメンバーを並べた試合で再びゴールを奪った。この2点目によって、佐藤の立場はさらに変化したと考えていい。

スポンサーリンク

ゴールだけではない、前半から最も危険な存在に

佐藤の評価が高い理由は、得点だけではない。

エルクレス戦では試合開始直後から積極的だった。序盤にはシュートがゴールライン付近で阻まれ、その後もクロス気味のシュートで相手GKを脅かした。

スペイン紙『AS』も前半について、佐藤がバレンシアで最も積極的にゴールへ向かっていた選手だったと評価している。チーム全体がエルクレスの守備を崩し切れず、攻撃が停滞していた中でも、佐藤は個人で局面を動かしていた。

この点は2点目そのもの以上に重要かもしれない。

プレシーズンでは若手選手が途中出場から勢いを見せることは珍しくない。しかし佐藤は先発として入り、相手が組織を整えている時間帯からチャンスを作っている。

そして後半には、自らが作った流れをゴールという数字につなげた。

「たまたま得点した若手」ではなく、「試合を通して危険だった選手」という評価に変わりつつあるのである。

現地紙が高評価「プレシーズンの発見」

佐藤に対するスペイン現地メディアの評価も高まっている。

『AS』はバレンシアのプレシーズン全体について決して楽観的ではない。チームには依然として攻撃面の課題があり、選手層にも不安が残ると厳しく分析している。

その中で佐藤については、突破力や攻撃のひらめき、そしてゴールをチームにもたらす存在として評価。「プレシーズンの発見」の一人という位置づけで紹介した。

チーム全体の出来が良かったから佐藤まで評価されたわけではないところがポイントである。

むしろ、バレンシアが思うような内容を見せられていないからこそ、攻撃に変化を加えられる佐藤の存在が目立っている。

地元メディア『ElDesmarque』の評価はさらに高かった。

同媒体はエルクレス戦の選手採点で佐藤に8点を与えた。1ゴール1アシストのハビ・ゲラが9点で最高評価となり、佐藤はそれに続くチーム上位の評価だった。ボールに関われば何かを起こせる選手として、その積極性と得点力が評価されている。

19歳の新加入選手としては、かなり順調なスタートである。

ハビ・ゲラとの連係が新たな武器に

エルクレス戦でもう一つ注目したいのが、ハビ・ゲラと佐藤の関係である。

今回の佐藤のゴールにもゲラが関与した。

バレンシアの中盤を担うゲラが前向きにボールを運び、佐藤がその動きに合わせて最終ラインの背後やDF間へ入る。この組み合わせによって、バレンシアは停滞した攻撃を一気に加速させることができる。

『ElDesmarque』も両者の連係をエルクレス戦のポジティブな要素として高く評価している。

佐藤にとって、ここは非常に大きなポイントだ。

若手選手が新しいクラブでスタメンを勝ち取るためには、個人能力だけでは足りない。チームの中心選手と組んだ時に、攻撃全体を良くできるかどうかが重要になる。

ゲラと佐藤が同時にプレーすることで攻撃のテンポが上がるのであれば、コルベラン監督にとって佐藤を使う理由はさらに増える。

得点数だけでなく「誰と組めば機能するのか」という部分でも答えを出し始めている。

ウイングだけではない佐藤の強み

佐藤のバレンシアでの起用法も興味深い。

FC東京時代の印象から、佐藤をサイドアタッカーとして認識しているファンは多いだろう。しかしバレンシアは、加入発表時点から佐藤を複数のポジションでプレーできる選手として評価していた。

クラブ公式は、左から中央へ入る形、右サイド、中央から攻撃を前進させる役割などに対応できると説明している。また、スピード、技術、味方とのコンビネーション、狭いスペースで相手をかわす能力も長所として挙げている。

コルベラン監督はプレシーズン終盤、5バックを基本としたシステムを試している。

その中で佐藤は、タッチライン際に固定される従来型のウイングというより、ウーゴ・ドゥロら前線の選手に近い位置を取りながら自由に動く役割を与えられている。

サイドへ開いて1対1を仕掛けることもできれば、中央へ入り込んでフィニッシュにも参加できる。

エルクレス戦のゴールは、その特徴が分かりやすく表れた場面だった。

佐藤が単純な「左ウイングの控え」ではなく、複数のポジションを埋められる攻撃要員として評価されれば、出場機会は一気に増える可能性がある。

19歳でバレンシアの戦力へ

佐藤は7月7日、FC東京からバレンシアへの完全移籍が発表された。契約は2031年までの5年間で、バレンシア男子トップチーム史上初の日本人選手となった。

もともと期待値の高い選手ではある。

2025年にはファジアーノ岡山でプレーし、J1リーグのベストヤングプレーヤー賞を受賞。2026年1月のAFC U23アジアカップでは日本の優勝に貢献し、大会MVPにも選ばれた。

それでも、日本からスペインへ移籍してすぐにトップチームの主力候補になることは簡単ではない。

特にラ・リーガでは、ボールを扱う技術だけではなく、守備時のポジショニング、試合のテンポへの適応、球際での強度、戦術理解など多くの要素が要求される。

佐藤がここまで評価を高めている理由は、将来性だけではなく、現在のバレンシアが必要としている特徴を持っているからだろう。

攻撃にスピードを加えられる。狭い場所でもボールを扱える。サイドと中央を行き来できる。そしてゴール前まで入っていける。

プレシーズン2得点という数字は、その能力がスペインでも少しずつ形になっている証拠である。

開幕スタメンが現実味、ただし登録手続きが残る

最大の関心は、佐藤がラ・リーガで先発するのかという点だ。

『AS』はエルクレス戦について、コルベラン監督がかなり主力に近いメンバーを起用したと分析している。さらに、リーグ初戦となる8月22日のセルタ戦でも、大きく変わらないメンバーが起用される可能性があると見ている。

その先発メンバーに佐藤が入っていた。

つまり現時点では、「プレシーズンで好調な若手」という段階から、「リーグ戦のスタメン候補」へ一段上がったと見ることができる。

ただし、プレー以外に解決しなければならない問題もある。

『AS』は8月14日、佐藤について就労ビザや国際移籍証明書、スペインサッカー連盟の承認など、公式戦出場に向けた手続きがまだ残っていると報じた。バレンシアはリザーブチームの登録枠を利用しながらトップチームで起用する方針とされており、クラブ側はセルタ戦までの手続き完了を見込んでいるという。

そのため、現時点で「開幕スタメン決定」とするのは早い。

サッカー面ではスタメン争いに入り込んでいる一方、まずは登録手続きを完了させる必要がある。

プレシーズン2得点以上に大きい「序列の変化」

もちろん、佐藤が決めた2得点はいずれもプレシーズンマッチである。

エルクレスもラ・リーガのクラブではなく、公式戦になれば相手のプレッシャーや試合強度はさらに高くなる。プレシーズンの結果だけを見て「ラ・リーガでも活躍できる」と結論づけることはできない。

それでも、今回の2点目には大きな意味がある。

佐藤は結果を残しただけではない。開幕を想定したメンバーの中で先発し、前半からチャンスを作り、後半にゴールを奪った。そしてスペイン主要紙や地元メディアから、チームのポジティブな材料として名前を挙げられている。

移籍発表からまだ1カ月余り。

バレンシア加入時には「将来有望な日本人選手」という位置づけだった佐藤が、今ではトップチームの攻撃を改善できる選手として見られ始めている。

プレシーズン2ゴールという数字以上に注目すべきなのは、この短期間で起きた序列の変化である。

登録問題が解決すれば、次はいよいよラ・リーガの舞台だ。

19歳の佐藤龍之介がメスタージャでどのような位置からスペインでの第一歩を踏み出すのか。バレンシアでの競争は、すでに「出場できるか」ではなく「先発できるか」という段階へ近づいている。

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました