21歳石渡ネルソンが欧州初ゴール 開幕2戦で1G1A C大阪から加入

ベルギー

シント=トロイデンVVの21歳石渡ネルソンが、ベルギーで欧州初ゴールを決めた。加入から約1カ月、リーグ開幕戦ではアシストを記録しており、早くも2試合で1ゴール1アシスト。新天地の中盤で存在感を強めている。

石渡ネルソンがベルギーで欧州初ゴール

石渡ネルソンにとって、欧州挑戦の大きな一歩となるゴールが生まれた。

シント=トロイデンは現地時間8月14日、ベルギー1部ジュピラー・プロ・リーグ第2節でサークル・ブルッヘと対戦。石渡は開幕戦に続いて先発すると、後半開始直後にチームの3点目を奪った。

試合は開始早々から動いた。シント=トロイデンは1分にライアン・メルランが先制。28分に追いつかれたものの、37分に再びメルランが決めて2-1として前半を終えた。

そして後半開始直後、石渡がスコアを3-1とするゴールを記録した。

シント=トロイデンの公式記録では48分。石渡にとっては2026年7月にセレッソ大阪から加入して以降、初めての公式戦ゴールであり、欧州クラブでの初得点となった。

石渡はその後も中盤でプレーを続け、87分に交代。チームは終盤に2点を失い、最終的には3-3で引き分けた。

3-1から勝利を逃しただけにチームとしては悔しい結果だが、石渡個人にとっては欧州で自らの存在を示す重要な一戦になった。

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奪って展開し、自ら仕留めた一撃

石渡のゴールで特に注目したいのは、フィニッシュだけに関与した得点ではなかった点である。

得点につながった攻撃は、石渡自身のボール奪取から始まった。

中盤で相手からボールを奪うと、石渡はすぐに大きくサイドへ展開。そのまま後方に残るのではなく、攻撃に合わせて前方へポジションを移した。

そして右サイドからクロスが入ると、攻撃に入り直した石渡がボールを捉え、ゴールへシュートを突き刺した。

ボールを奪う。前方へ展開する。そして自分自身もゴール前まで進出して攻撃を完結させる。

一つのプレーの中に、現在の石渡の特徴が凝縮されていたと言っていい。

185センチのサイズを持つ石渡は、守備的な中盤として語られることも多い。しかし、単に相手の攻撃を止めるだけの選手ではない。

ボールを前へ運び、自らペナルティーエリア周辺へ入り、シュートまで持ち込める。その能力がベルギーでも形になり始めている。

現地メディアも石渡のシュートを評価

ベルギーの現地メディアも石渡の一撃に注目している。

『Voetbalkrant』は試合速報の中で、石渡のシュートをゴール右上へ決まる止めるのが難しい一撃として伝えた。

ただし、試合全体を見るとシント=トロイデンが圧倒していたわけではない。

むしろサークル・ブルッヘが高い強度でプレッシャーをかけ、シント=トロイデンが押し込まれる時間も長かった。シント=トロイデンは限られたチャンスを効率よく得点につなげ、一時は3-1までリードを広げた形だった。

その意味でも石渡のゴールには価値がある。

チームが大量の決定機を作っていた中で生まれた得点ではなく、苦しい試合展開の中で訪れたチャンスを結果につなげたからだ。

一方、チームは82分に失点し、さらに後半アディショナルタイムにもゴールを許した。

最終的には3-3。石渡の欧州初ゴールが決勝点になることはなかった。

個人としては結果を残した一方で、チームとしてはリードを守る試合運びに課題を残した。この2つを分けて考える必要がある試合だった。

開幕戦ではアシスト、2試合で1ゴール1アシスト

石渡の好スタートは今回だけではない。

8月9日に行われたリーグ開幕戦のロンメル戦でも先発出場している。

シント=トロイデンが0-1で追う63分、石渡は右サイドでボールを持つと前方へ運び、イリアス・セバウィへパス。そこから同点ゴールが生まれ、石渡にベルギーでの初アシストが記録された。

試合は1-1で終了したが、石渡は加入後最初のリーグ戦から得点に直接関与した。

そして第2節では自らゴール。

これでリーグ開幕2試合で1ゴール1アシストとなった。

数字以上に重要なのは、2試合とも先発していることである。

石渡がセレッソ大阪からシント=トロイデンへ完全移籍したのは7月17日。新しい国、新しいチーム、新しいリーグへ移ったにもかかわらず、約3週間後のリーグ開幕戦にはスターティングメンバーに名を連ねた。

さらに第2節でも先発を継続している。

欧州に渡った若手選手にとって、最初の壁は出場機会を確保することである。石渡はその段階をかなり早いスピードで突破しつつある。

「守備的MF」だけではない21歳の強み

石渡のキャリアを振り返ると、今回のゴールは突然生まれたものではない。

セレッソ大阪のアカデミーで育った石渡は、トップチーム昇格後に愛媛FC、いわきFCへの育成型期限付き移籍を経験した。

特に飛躍につながったのが、2025年のいわきでのプレーである。

J2で継続的な出場機会を得ると、中盤で存在感を高め、7月にはJ2月間ヤングプレーヤー賞を受賞した。

当時から評価されていたのが、大柄な体格だけではない独特のプレースタイルだった。

守備では相手との距離を詰めてボールを奪える一方、ボールを持てば前へ運べる。中盤から前線へ顔を出し、攻撃にも関与する。

本人も当時、ゴールやアシストを増やし、相手にとってより脅威になる選手を目指す考えを示していた。

その課題に対する答えが、ベルギーで早くも数字として出ている。

開幕戦ではアシスト。第2節ではゴール。

特に今回の得点は、中盤で守備をした選手がそのまま攻撃の最後まで参加して生まれたものだった。

石渡を単純な「守備的MF」という枠だけで見ると、その魅力を見落としてしまう。

山本理仁の後継候補から、自分のポジションへ

シント=トロイデン加入時、ベルギーでは石渡を山本理仁の後継候補として見る報道もあった。

同じ日本人の中盤ということもあり、移籍直後に比較されること自体は自然だった。

しかし、重要なのは石渡が誰かの代役になることではない。

開幕2試合を見る限り、石渡は自分自身の特徴を使ってチームの中で居場所を作り始めている。

開幕戦では右サイドへ流れてアシストを記録し、第2節ではボール奪取から前線まで進出してゴールを決めた。

中盤の底に固定されるのではなく、局面によって前方へ出ていけることが特徴になっている。

もちろんシーズンは始まったばかりであり、2試合だけで序列が確定したと判断するのは早い。

それでも、加入直後から先発を続け、得点とアシストという明確な数字を残したことは、今後の競争を考えても大きい。

監督にとって「試している若手」から「試合で結果を出せる選手」へ変わっていけば、継続的な出場機会につながる可能性は高まる。

愛媛、いわきを経てつかんだ欧州挑戦

石渡は2005年5月10日生まれの21歳である。

セレッソ大阪の育成組織からトップチームへ進んだが、若いうちから順調にJ1で出場機会を得続けてきた選手ではない。

愛媛、いわきへの期限付き移籍を経験し、試合に出ながら評価を高めてきた。

C大阪がシント=トロイデン移籍を発表した際、石渡は自身の将来を考えた上で、今が海外挑戦に適したタイミングだと判断したことを明かしている。

21歳という年齢でベルギーへ渡る決断には当然リスクもある。

日本に残って出場機会を積み重ねる道もあった。それでも石渡は、より早い段階で欧州サッカーの環境へ身を置く道を選択した。

その決断から約1カ月。

まだ評価を決めるには早いものの、開幕2試合で1ゴール1アシストというスタートは、少なくとも本人が求めていた欧州挑戦が良い形で始まっていることを示している。

欧州初ゴールの次に問われる「継続性」

欧州初ゴールは大きな成果である。ただし、石渡にとって本当の勝負はここからだ。

ベルギーリーグでは試合の強度が高く、相手のプレッシャーやトランジションの速さに対応しながら、中盤で安定したパフォーマンスを続ける必要がある。

今回のサークル・ブルッヘ戦でも、シント=トロイデンは後半に押し込まれ、2点のリードを守り切れなかった。

中盤の選手である石渡にも、攻撃で数字を残すだけでなく、チームが試合をコントロールするための働きが求められていく。

それでも、欧州挑戦の最初の2試合で1ゴール1アシストを記録した事実は変わらない。

自らボールを奪い、自ら前へ出て、自ら決めた欧州初ゴール。

21歳石渡ネルソンは、ベルギーでただ出場機会を得ているだけではない。早くも自分の特徴を結果へ変え始めている。

このスタートを一時的なものにせず、シント=トロイデンの中盤で継続的に存在感を示せるか。欧州でのキャリアは、ここからさらに本格化していく。

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