堂安律がプレシーズンで、得意の形から鮮やかなゴールを決めた。アイントラハト・フランクフルトは現地時間8月12日、FSVフランクフルトとの親善試合に5-1で勝利。後半から出場した堂安は77分、右寄りの位置からペナルティーエリアへ入り、左足で試合を締めくくった。
結果だけなら、4部相当の相手から奪った5点目である。ただし、見るべきなのは得点の重みよりも、堂安がどこでボールを受け、どの方向へ進んだかだ。昨季は複数の役割を行き来しただけに、この一撃には新シーズンの起用法を考える手がかりがある。
トラップから左足まで、迷いのない一撃
フランクフルトは前半にオタヴィオ、ユネス・エブヌタリブ、ヨナタン・ブルカルトが決めて3点を先行した。後半開始直後にはマリク・ピンポンが4点目。62分に直接フリーキックで1点を返されたものの、試合の主導権は渡さなかった。
堂安は後半開始から出場した。クラブ公式の並びでは、オスカル・ホイルンドとウーゴ・ラーションの2ボランチより前に、堂安、ラブ・アーホフ、ファレス・シャイビが並び、ピンポンが最前線に入る4-2-3-1だった。堂安の出発点は右サイドである。
77分、シャイビのスルーパスが守備ラインの背後へ通る。堂安はペナルティーエリア内でボールを収め、左足でゴールへ流し込んだ。クラブ公式はフィニッシュ地点を右ハーフスペースと表現している。右の大外ではなく、サイドと中央の間にある通路だ。
ファーストタッチでボールを足元に置くだけでなく、次のシュートを打てる角度まで作った。そこで歩幅を増やさず、守備者が寄せ切る前に左足を振れている。堂安の技術が、ゴールへ近い場所で使われた場面だった。
右ウイングだけではなかった昨季
堂安のフランクフルト1年目は、役割の変化が多いシーズンだった。本人は2026年2月のクラブインタビューで、セカンドトップ、ウイング、ウイングバック、中央の攻撃的MFを経験したと説明している。中央では8番と10番を混ぜたような役割を求められた。
右ウイングなら、外側で受けて左足側へカットインできる。一方、中央に入れば最初からゴールに近い。堂安自身も当時、中央ではシュート機会を作りやすい利点を語る一方、慣れたサイドとは異なる動きが必要だと認めていた。
問題は、中央へ移すだけで得点が増えるわけではないことだ。低い位置まで下がって組み立てを担えば、ゴールまでの距離は再び遠くなる。昨季途中の4-1-4-1では右の大外に定位置がなく、中央で前進を助ける仕事が増えた。ボールには触れても、最後の一手を担う回数を確保しにくかった。
FSV戦では違った。4-2-3-1の右から内側へ走り、シャイビのパスをゴール前で受けている。堂安の良さは「右か中央か」の二択ではなく、右から中央へ移る過程で相手の視野から外れ、左足を振れることにある。
フランクフルトで担うのは攻撃の接着剤
フランクフルト公式の集計で、堂安は2025-26シーズンの全公式戦40試合に出場し、7得点5アシストを記録した。開幕直後のホッフェンハイム戦では2得点1アシスト。右から内側へ運ぶシュート、逆サイドでの詰め、1対1からのラストパスと、異なる形で3得点すべてに関与した。
その後もマインツ戦とアウクスブルク戦では勝敗を動かす得点を決めた。シーズンを通じて大量得点を続けたわけではないが、局面を一人で変える力は示している。加えて、球際で戦い、パスの出口になり、味方を前向きにする。得点者とチャンスメイカーの間をつなぐのが堂安の役割だ。
今季の前線にはブルカルトやピンポンが入り、2列目にはカン・ウズン、シャイビ、マリオ・ゲッツェらがいる。中央で創造性を担える選手は多い。だからこそ堂安には、右で幅を保つだけでなく、最終ラインの背後へ入って攻撃を終わらせる仕事が求められる。
FSV戦のゴールはシャイビが出し手、堂安が走り手になった。堂安が毎回ボールを受けに下がらず、味方のパスを信じて前へ出られれば、同じ攻撃陣との役割分担も整理される。得点を増やす第一条件は、ゴール前に入る回数を確保することだ。
ヒュッターの要求は堂安に合うか
新監督のアディ・ヒュッターは、就任会見で攻守に強度を出し、ボールを失った直後に全員が反応するサッカーを求めた。攻撃では速さだけに頼らず、ボール保持でもアイデアを持つ。さらに、選手を最も力が出る位置で使いたいとも話している。
この方針は堂安の長所と重なる。前向きにボールを奪えば、相手の守備が整う前に左足でゴールへ向かえる。右サイドで守備の基準点となり、奪った後は内側へ進む。攻守を別々の仕事にせず、一つの流れにできる選手だ。
一方で、強度を重視するチームでは、右サイドの上下動だけに追われる可能性もある。堂安が低い位置で守備を完結させた後、誰が前進の時間を作るのか。右サイドバックやボランチが堂安を高い位置に残せるかが、シュート数を左右する。
FSV戦では後半の4-2-3-1で右の攻撃役を担った。プレシーズンの一試合で形は固定されないが、少なくとも中央の組み立て役ではなく、前線へ侵入する役割で得点した。この配置を強い相手にも続けられるかが次の確認点になる。
得点増へ必要な三つの条件
一つ目は、右ハーフスペースで前を向く回数だ。タッチライン際で相手と正対してから二人を抜くより、内側の通路で味方の縦パスを受けた方がゴールまでの手数は減る。FSV戦のように、トラップとシュートを連続させられる。
二つ目は、出し手との関係である。シャイビやウズンが中央でボールを持ったとき、堂安が足元でもらうだけでは相手を動かせない。背後へ一度走り、戻って受ける。あるいは外へ開いてから斜めに入る。その動きが増えれば、左足のシュートだけでなく、折り返しを押し込む得点も狙える。
三つ目は、守備の貢献を攻撃位置の低下につなげないことだ。堂安の献身性はチームに欠かせない。ただし、すべての局面で自陣深くまで戻れば、奪った瞬間に前方が空く。周囲がカバーし、堂安がカウンターの出口になれる時間を作れば、昨季とは違う得点経路が生まれる。
得点目標の数字を置くより、まずこの三条件が揃うかを見る方が実戦的だ。公式戦7得点から上積みするには、決定力を突然変えるより、堂安が左足を振れる場所へ何度到達できるかを変える必要がある。
次はブレントフォード戦、強度が上がる
FSVフランクフルトは前季のレギオナルリーガで3位だった。5-1という結果も、堂安の一撃も、ブンデスリーガで同じように再現できる保証にはならない。プレッシャーの速さと守備ラインの管理は、次の相手から一段上がる。
フランクフルトは現地時間8月15日、プレミアリーグのブレントフォードと最後の親善試合を行う。堂安が右で先発するのか、途中から流れを変えるのか。右サイドバックとの距離、中央へ入るタイミング、ペナルティーエリア内でのタッチ数を見れば、ヒュッターが想定する役割がもう少し鮮明になる。
その後は現地21日のDFBポカール1回戦、SCザンクト・テーニス戦で公式戦が始まり、29日にはウニオン・ベルリンとのブンデスリーガ開幕戦を迎える。鮮やかなプレシーズン弾を得点増の予告に変えるには、右ハーフスペースへの侵入を公式戦でも繰り返せるか。次の二週間で答えが見えてくる。
よくある質問
堂安律はFSVフランクフルト戦でどこを務めた?
後半から4-2-3-1の右サイドに入り、得点場面では右ハーフスペースからペナルティーエリアへ進入した。
堂安律の2025-26シーズンの成績は?
フランクフルト公式の全公式戦集計では40試合に出場し、7得点5アシストだった。

