ガンバ大阪、浦和との乱戦制す 明神監督初陣で4-3勝利

ACL

ガンバ大阪が新シーズンの開幕戦で劇的な勝利を収めた。8月7日に行われた2026/27明治安田J1リーグ第1節で浦和レッズと対戦し、二度リードを許す展開から4-3で勝利。明神智和監督のリーグ初陣は、課題と可能性の両方が強烈に残る90分となった。

ガンバ大阪が浦和との7ゴール乱戦を制す

秋春制へ移行したJリーグの新たなシーズン。その初戦でガンバ大阪が迎えた相手は浦和レッズだった。

パナソニック スタジアム 吹田には3万4855人が集まり、ガンバにとってクラブ創立35周年シーズンのスタートとなる一戦でもあった。1993年のJリーグ開幕時にも対戦した両クラブが、新たなカレンダーへ移行したシーズンの幕開けで再び顔を合わせるという象徴的なカードでもあった。

試合は開始から激しく動いた。

17分、先手を取ったのは浦和だった。小森飛絢がゴールを奪い、アウェーチームが0-1とリードする。

しかし、そのわずか5分後に試合の構図を大きく変える出来事が起こった。11分に一度警告を受けていた浦和のマテウス・サヴィオが22分に2枚目のイエローカードを受けて退場。浦和は残り約70分を10人で戦わなければならなくなった。

数的優位を得たガンバは、徐々にボールを保持する時間を増やしていく。

明神監督が選手に伝えたのは、ピッチの幅を使い、焦らずに相手を動かしながら攻撃することだった。

その狙いが結果につながったのが36分である。イッサム・ジェバリが左足でゴールを決めて1-1。さらに前半アディショナルタイム7分にはデニス・ヒュメットが追加点を奪い、2-1と逆転してハーフタイムを迎えた。

数的優位となり、前半のうちに逆転。ここまではガンバの狙い通りだったと言っていい。

しかし、この試合が本当に激しく動いたのは後半だった。

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10人の浦和に逆転を許すまさかの展開

1人多いガンバがそのまま試合をコントロールするかに思われたが、浦和は簡単には崩れなかった。

後半に入ると、むしろ危険な場面を作ったのは浦和だった。

52分には小森が立て続けにシュート。クロスバーを叩く場面や、ガンバGK荒木琉偉と守備陣が辛うじて防ぐ場面もあり、数的不利とは思えないほど浦和がゴールへ迫った。

ガンバはボールを持ちながらも、相手のカウンターや前線への速い攻撃を完全には封じ込められない。

そして78分、浦和の反撃がついに実る。

渡邊凌磨のクロスから金子拓郎がヘディングで決めて2-2。さらにわずか2分後の80分、再び渡邊のクロスから途中出場の南野遥海が仕留め、スコアは2-3となった。

22分から数的優位だったガンバが、試合終盤になって10人の浦和に逆転を許したのである。

明神監督も試合後、この時間帯について明確に問題を認めている。

監督が挙げたのはチーム全体の「間延び」だった。ディフェンスラインだけではなく、前線との距離も含めてチームがコンパクトさを失い、相手にスペースを与えてしまったという分析である。また、サイドから失点していることについても修正の必要性を認めた。

実際、浦和の2点目と3点目はいずれもクロスから生まれている。

数的優位であれば、必ずしも相手の攻撃力が消えるわけではない。攻撃に人数をかけすぎて攻守の距離が開けば、残されたスペースを使われる危険性はある。

ガンバにとっては、新シーズンの初戦からそのリスクを強く突きつけられる形となった。

ウェルトンと植中朝日、交代策が試合を変える

それでも、ここからガンバはもう一度試合をひっくり返した。

明神監督が切った交代カードが大きな意味を持つ。

59分にデニス・ヒュメットに代えて植中朝日を投入。さらに77分には食野亮太郎に代えてウェルトンをピッチへ送り出した。

植中を投入した理由について、明神監督はまず守備面を挙げている。

ガンバのラインが低くなり始めたため、前線から相手のボールホルダーへプレッシャーを掛け、チーム全体を押し上げる狙いがあった。

一方、ウェルトン投入についてはより明快だった。

明神監督によれば、ウェルトンの投入は追加点を奪うというメッセージだった。

その2人が、最終的に試合を決める。

2-3と逆転された直後の84分、ジェバリからボールを受けたウェルトンがペナルティーエリア内へ進入。右足でゴールへ流し込み、3-3とした。

さらに86分である。

ジェバリのスルーパスから山下諒也がペナルティーエリア内へ入り、クロスを供給。最後は植中が頭で合わせ、ガンバが4-3と再び試合をひっくり返した。

浦和が78分と80分の2得点で逆転したのに対し、ガンバも84分と86分の2得点で再逆転。

わずか8分間でスコアが2-1から2-3、そして4-3へと動く壮絶な展開だった。

監督の交代が必ず成功する保証はない。その意味で「采配だけで勝った」と断定するのは適切ではないだろう。

ただし、植中には前線から守備を強化する役割、ウェルトンにはゴールを奪う役割を与え、その2人が得点したことは明神監督にとって大きな成果である。

シュート11対19でも4得点、数字が示す試合の特殊性

この試合はスタッツを確認すると、さらに興味深い。

Jリーグ公式データでは、シュート数はガンバの11本に対して浦和は19本。人数が少なかった浦和の方が8本多くシュートを放っている。

一方で枠内シュートはガンバが9本、浦和が6本だった。ボール支配率はガンバ59%、浦和41%、パス成功率もガンバ82%、浦和75%となっている。

つまり、ボールを握ったのはガンバだが、シュートまで持ち込んだ回数では浦和が上回った。

一方のガンバは11本中9本を枠内へ飛ばし、そのうち4本を得点につなげている。

この数字から見えてくるのは、ガンバの決定力と同時に、数的優位を十分な守備の安定につなげられなかったという事実である。

相手が1人少ない状態で19本のシュートを許したことは、勝利によって見逃していい数字ではない。

特に明神監督は、相手が退場した直後にボランチが前へ出すぎないようリスク管理を求めていたことも明かしている。浦和が守備からカウンターを狙ってくる展開を予測していたからだ。

それでも後半には試合がオープンになった。

戦術的な狙いそのものより、その狙いを90分間維持する部分に課題が残ったと見るべきだろう。

明神智和監督が掲げる「勝つこと」を初戦で実現

この勝利が持つ意味は、単なる勝点3だけではない。

ガンバは7月、イェンス・ヴィッシング監督の退任を発表し、トップチームコーチだった明神智和が新監督に就任した。

明神監督は就任会見で、チームにとって最も大切なのは「勝つこと」だという考えを明確にしている。

その一方、ガンバでは結果だけでなく、どのようなサッカーで勝つのかも求められるとして、自分なりのチーム作りを進める考えを示していた。

その初戦が4-3という展開になったのは象徴的でもある。

決して完成された試合ではない。

数的優位になりながら3失点し、一度は逆転された。守備のコンパクトさやゲームコントロールには改善すべきポイントがはっきりと残っている。

それでも最後まで攻撃を止めず、再び2ゴールを奪って勝利した。

明神監督は試合後、監督になって背負うものの大きさに触れながら、選手時代以上にうれしいかもしれないという趣旨で初勝利を振り返っている。

監督としての理想を示す以前に、まず勝つ。

就任会見で語った言葉を、初戦から結果として残したことは大きい。

新しいガンバの武器になり得る「途中出場組」

今後を考えた時、もう一つ注目したいのが選手層である。

この日の決勝点を挙げた植中は先発ではなかった。ウェルトンもベンチスタートである。それでも途中から試合へ入り、2人で2ゴールを奪った。

シーズンを通して戦う上で、先発11人だけで勝ち続けることはできない。

特に夏場の試合では運動量が落ちる時間帯が生まれやすく、交代選手が試合の強度を維持できるかは重要になる。

ガンバは今季、前線からのプレッシングをベースにしながら、サイドの幅を使った攻撃や選手の特徴に応じた変化も取り入れようとしている。開幕前には安部柊斗も、明神監督の下でそうした新たな色が形になりつつあるとの認識を示していた。

そのスタイルを実現するためにも、途中出場の選手が試合を変えられることは大きな武器となる。

浦和戦では、それが最も分かりやすい形で結果に表れた。

ただし「10人相手に3失点」は見過ごせない

開幕戦は勝った。

ただし、明神体制の評価を4得点という結果だけで決めるのは早い。

最大の課題はやはり守備である。

浦和は22分から10人で戦った。それでも19本のシュートを放ち、3得点を奪った。

特に後半は、ガンバの前線と最終ラインの距離が開くことで浦和が前進しやすくなり、ゴール前まで運ばれる場面が増えた。

数的優位では、相手を押し込もうとする意識が強くなる。その一方で全員が前へ出れば、ボールを失った瞬間に守備側のスペースが広がる。

明神監督自身も「コンパクトにすること」を課題として認識している。

重要なのは、勝った試合からどこまで問題を見つけられるかである。

もし4-3という劇的な結果だけに目を向ければ、修正すべきポイントを見失う可能性がある。

逆に言えば、3失点という明確な課題を抱えながら勝点3を確保できたことは、新体制にとって悪いスタートではない。

次はACLエリート予選、修正する時間は少ない

そしてガンバには、開幕勝利をゆっくり振り返る時間はない。

次戦は8月11日。韓国で江原FCとAFCチャンピオンズリーグエリートのプレリミナリーステージを戦う。会場は江陵総合競技場で、日本時間19時30分キックオフ予定となっている。

浦和戦からわずか4日後である。

明神体制は初戦で4得点を奪い、交代選手も結果を残した。一方で、数的優位の相手に3失点し、ゲームを安定させる部分には大きな宿題を残した。

だからこそ、この4-3は単なる劇的勝利ではない。

攻撃力、選手層、最後までゴールを求める姿勢という明神ガンバの可能性と、守備の距離感、リスク管理、試合の終わらせ方という課題が一度に表れた90分だった。

明神監督が就任時に掲げた最優先事項は「勝つこと」である。

その第一歩は踏み出した。

次に問われるのは、勝利を積み重ねるために、この開幕戦で露呈した問題をどこまで早く修正できるかだ。

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