リヴァプール遠藤航、モナコ戦で実戦復帰か イラオラ体制で初出場へ

イングランド

リヴァプールの遠藤航が、8月9日に行われるASモナコとの親善試合で実戦復帰する可能性が高まった。長期離脱とワールドカップ欠場を経験した33歳にとって、新監督の下で始まる重要な再出発となる。

8月9日のモナコ戦で数分間出場か

リヴァプールを率いるアンドニ・イラオラ監督は8月1日、遠藤の回復状況について「非常に準備が整った状態に近づいている」と説明した。そのうえで、8月9日のASモナコ戦について「何分かプレーできるはずだ」と、短時間の起用を見込んでいることを明らかにした。

遠藤はアメリカで行われたプレシーズンツアー中にトレーニングの負荷を段階的に引き上げてきた。7月21日の時点では部分的な全体練習への参加が予定されている段階だったが、約10日間で実戦出場を検討できるところまで前進した形である。

ただし、現時点でモナコ戦のメンバー入りや出場が正式に確定したわけではない。イラオラ監督の言葉も、先発や長時間出場ではなく、状態に問題がなければ数分間を与えるという慎重な見通しを示したものだ。

試合は8月9日にアンフィールドで開催され、英国時間午後2時30分、日本時間午後10時30分に開始される予定である。リヴァプールにとっては、新シーズン開幕前に本拠地で行う最初のプレシーズンマッチとなる。

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2月の負傷から続いた長い離脱

遠藤が負傷したのは、2月11日に行われたプレミアリーグのサンダーランド戦だった。この試合では本職の守備的MFではなく右サイドバックとして出場。ペナルティーエリア内で相手の攻撃を防いだ際に足を痛め、担架で運び出された。

当時のアルネ・スロット監督は、試合後に「深刻な負傷」と説明した。負傷箇所については足首か足部かを検査する必要があるとしながらも、長期間の離脱になるとの厳しい見通しを示していた。

その後、遠藤は4月下旬に屋外でのリハビリを再開した。クラブは当初、シーズン終了までの復帰を目指しているとしており、5月24日のブレントフォード戦ではベンチに入った。しかし、この試合では起用されず、リヴァプールでの実戦復帰には至らなかった。

約半年にわたってクラブの試合に出場していない遠藤にとって、モナコ戦は試合勘を取り戻すための第一歩となる。復帰の目的は好プレーを見せることよりも、足に試合強度の負荷をかけた際に問題が起きないかを確認することにある。

日本代表で一度復帰するもW杯を欠場

遠藤は5月31日、国立競技場で行われたアイスランド代表との親善試合で約3カ月半ぶりに実戦へ戻った。田中碧とともにボランチで先発し、前半45分間に出場。吉田麻也の交代後にはキャプテンマークも引き継いだ。

日本サッカー協会は当時、遠藤の負傷箇所を足首と説明していた。森保一監督も試合後、遠藤が一定のパフォーマンスを見せたと評価する一方、本来の最高水準に到達するには、さらにコンディションを上げる必要があるとの認識を示していた。

遠藤自身にとって、アイスランド戦はワールドカップ出場へ向けた重要なテストだった。しかし、その後も状態を完全には整えられず、6月11日に負傷を理由として日本代表から離脱。代替選手として町野修斗が招集された。

遠藤はワールドカップ欠場と同時に、日本代表からの引退も表明した。代表では通算73試合に出場して4得点。長く主将を務めてきたが、最後の大会として目指していた2026年ワールドカップには出場できなかった。

アイスランド戦で一度ピッチに戻っているため、モナコ戦は厳密には最初の復帰戦ではない。それでも、再びリハビリ期間を経たうえで迎えるクラブでの実戦という意味では、事実上の再復帰となる。

イラオラ体制では初めての実戦評価

遠藤が最後にリヴァプールの試合へ出場した当時、チームを率いていたのはスロット監督だった。リヴァプールはシーズン終了後に監督を交代し、ボーンマスで実績を残したイラオラを新監督に迎えている。

つまり、遠藤はイラオラ体制の試合にまだ一度も出場していない。モナコ戦で与えられる可能性がある数分間は、リハビリの最終確認であると同時に、新監督が遠藤を実戦で直接評価する最初の機会となる。

プレシーズンでは、選手の序列が前シーズンのまま引き継がれるとは限らない。監督が変われば、守備の立ち位置、ボールを受ける場所、プレスを開始するタイミングも変化するからだ。特に遠藤のように守備力や戦術理解を武器とする選手は、新しい約束事への適応度が起用を左右する。

33歳の遠藤に残された準備期間は長くない。プレミアリーグ開幕戦は8月23日のニューカッスル戦であり、モナコ戦から約2週間後に迫っている。コンディションを戻しながら、新監督の戦術も吸収しなければならない難しい状況である。

ハイプレスで生きる遠藤の予測力

イラオラがリヴァプールで導入しようとしているのは、相手を前方から追い込み、ボールを奪った直後に素早く攻撃へ移るスタイルである。

ミロシュ・ケルケズは新体制について、前に出て全員でプレスをかけるサッカーになると説明している。アメリカツアーでも、イラオラは選手にプレー速度を上げることを繰り返し要求したと現地で報じられた。

このスタイルでは、守備的MFにも積極性が求められる。自陣深くで待ち構えるだけではなく、前線のプレスに連動し、相手のパスコースを予測して前へ出なければならない。

遠藤の強みは、単純なスピードや身体能力だけではない。相手が次に使おうとする場所を読み、早い段階で身体を寄せる判断力にある。前線からのプレスが正しく機能すれば、遠藤が得意とする球際の守備やセカンドボールの回収を生かせる可能性がある。

一方で、ボールを奪った後のプレーは重要な評価項目になる。イラオラのサッカーでは、奪取後に安全な横パスを選ぶだけでなく、少ないタッチで前線へボールを届ける判断が必要だ。遠藤が守備だけでなく攻撃の切り替えでもテンポを作れるかが、出場時間を確保する鍵となる。

複数ポジションをこなせる価値

遠藤の立場を考えるうえで見逃せないのが、複数のポジションをこなせる点である。本職は守備的MFだが、センターバックや右サイドバックでもプレーできる。負傷したサンダーランド戦も右サイドバックで先発していた。

リヴァプールはプレシーズン中、ワールドカップ後の休養や負傷によって多くの主力を欠いた。特に守備陣ではジョー・ゴメスらが離脱し、アメリカツアーでは経験の少ない若手を起用せざるを得ない試合もあった。

遠藤が復帰すれば、中盤の控えが増えるだけではない。試合途中に最終ラインへ入り、守備の人数や配置を変える選択肢も生まれる。リードを守る終盤や、負傷者が出た緊急時に複数の役割を任せられる選手は、長いシーズンで大きな価値を持つ。

ただし、長期離脱から戻った直後に複数ポジションを行き来させることには危険もある。走行距離や方向転換の頻度が変われば、負傷箇所への負荷も変化する。まずは本職の中盤で状態を確認し、段階的に役割を広げるのが現実的だろう。

若手との競争で問われる経験値

遠藤が復帰すれば自動的に一定の出場時間を得られるわけではない。リヴァプールではライアン・フラーフェンベルフやアレクシス・マック・アリスターらが中盤の中心を担い、若手のトレイ・ナイオニもプレシーズンで存在感を示している。

イラオラ監督にとっては、年齢や過去の実績よりも、自身の要求する強度を実行できるかが重要になる。遠藤は若手のような成長性ではなく、試合の流れを読み、危険な時間帯を管理できる経験によって競争しなければならない。

遠藤はこれまで、先発出場だけで評価を築いてきた選手ではない。試合終盤に投入され、相手の攻撃を止める役割でも信頼を得てきた。新体制でも、常時先発することだけが成功ではない。守備を安定させる交代要員、複数ポジションのバックアップ、若い選手を支える存在として、明確な居場所を作ることは可能である。

日本代表を引退したことで、今後は代表活動による長距離移動や国際試合がなくなる。これはクラブでコンディションを整えやすくなる要素ではあるが、出場機会を保証するものではない。むしろ代表主将という立場を離れた今、リヴァプールでどのような価値を示すかが、キャリア後半の評価を大きく左右する。

開幕戦へつながる最初の数分間

リヴァプールはモナコ戦の1週間後となる8月16日に、アンフィールドでコモと対戦する。同日には非公開の追加試合も予定されており、複数の選手に出場時間を与える準備が進められている。

遠藤にとって理想的なのは、モナコ戦で短時間出場し、問題がなければコモ戦でプレー時間を増やす流れである。そのうえで、8月23日のニューカッスルとのプレミアリーグ開幕戦でベンチ入りを目指すことになる。

もっとも、これは試合日程から考えられる復帰への道筋であり、クラブが発表した正式な計画ではない。長期離脱後の選手にとって重要なのは、開幕戦に無理に間に合わせることではなく、再離脱せずシーズンを戦える身体を作ることである。

モナコ戦で予定されているのは、わずかな出場時間かもしれない。しかし、ワールドカップ欠場と日本代表引退を経た遠藤にとって、その数分間が持つ意味は小さくない。新監督の下で信頼を一から築き、リヴァプールでの次の役割を探す戦いが、ようやく始まろうとしている。

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