マクサンス・ラクロワのチェルシー移籍が成立へ近づいている。英紙『タイムズ』によれば、チェルシーはクリスタル・パレスと約114億円(5200万ポンド)で合意に近づき、フランス代表DFはメディカルチェックを受ける予定だという。守備の立て直しを求めるシャビ・アロンソ監督にとって、ラクロワは新体制を象徴する補強になり得る存在である。
なお、2026年7月24日時点で両クラブから正式発表は出ていない。現段階では「移籍決定」ではなく、クラブ間合意と契約完了へ向けた手続きが進んでいる段階として扱う必要がある。
チェルシーが約114億円でラクロワ獲得へ
報道されている移籍金は約114億円(5200万ポンド)である。日本円への換算は、7月24日時点の1ポンド約218円を基準としている。為替相場は変動するため概算だが、センターバックとしてはプレミアリーグでも大型取引に分類される金額だ。
『タイムズ』は、チェルシーとクリスタル・パレスの交渉が合意へ近づき、ラクロワがメディカルチェックを受ける見通しだと報じた。正式契約には検査の完了や書類への署名などが残るものの、単なる関心や獲得候補の段階からは大きく進展している。
チェルシーが高額を投じる理由の一つは、ラクロワがプレミアリーグで能力を証明していることである。海外リーグから初めてイングランドへ渡る選手とは異なり、リーグの強度、試合速度、空中戦の多さをすでに理解している。新監督の戦術を早期に浸透させたいクラブにとって、適応期間を短縮できる即戦力は大きな価値を持つ。
パレスで評価を高めたマクサンス・ラクロワ
ラクロワは2000年4月6日生まれのフランス人センターバックである。ソショーの育成組織からトップチームへ昇格し、2020年にヴォルフスブルクへ移籍。ドイツでオリヴァー・グラスナー監督の指導を受け、2024年8月にクリスタル・パレスと5年契約を結んだ。
パレスではグラスナーが採用した3バックの主力となり、加入初年度の2024-25シーズンにクラブ史上初のFAカップ優勝を経験した。その後もコミュニティ・シールドを制し、2025-26シーズンにはUEFAカンファレンスリーグ優勝に貢献した。
2026年3月にはフランス代表へ初招集され、同年のワールドカップメンバーにも選出された。プレミアリーグでの安定したパフォーマンスが代表入りにつながり、クラブレベルだけでなく国際舞台でも評価を高めている。
最大の武器はスピードと1対1の強さ
ラクロワの特徴は、190センチを超える体格とセンターバックとしては際立ったスピードを両立している点にある。
速さが生きるのは、相手FWに背後を取られた場面である。最終ラインを高く設定するチームでは、センターバックの後方に広いスペースが生まれる。そこで走り負ければ一気に決定機を招くが、ラクロワは加速力を使って追いつき、身体を入れて攻撃を止められる。
過去2シーズンのプレミアリーグでは、1対1で高い成功率を誇り、クリア数、空中戦勝利数、インターセプト数でもリーグ上位に入るなど、守備能力の高さを示してきた。副主将を務めるなど、リーダーシップも評価されている。
シャビ・アロンソの3バックに合う理由
チェルシーを率いるシャビ・アロンソは、レバークーゼン時代から3-4-3を基本システムとしてきた。
3バックでは左右のセンターバックが広いスペースを守り、攻撃時にはボールを運ぶ役割も担う。ラクロワはパレスでこのシステムを経験しており、右でも中央でもプレー可能だ。高い守備ラインの背後をカバーできる走力は、アロンソの戦術と高い親和性を持つ。
一方で、ビルドアップの中心というよりは、レヴィ・コルウィルらと役割分担しながら守備面を支える存在になる可能性が高い。
52失点した守備陣をどう変えるのか
チェルシーは2025-26シーズンのプレミアリーグで52失点を喫し、守備改善が大きな課題となった。
また、リーグ最年少クラスのチームであることから、経験豊富な選手の加入も求められていた。26歳のラクロワは、プレミアリーグ、ブンデスリーガ、欧州大会、フランス代表を経験しており、若いチームへ安定感をもたらす存在として期待される。
約114億円は高すぎるのか
約114億円(5200万ポンド)は高額な投資だが、プレミアリーグで実績を残し、3バックへの適応力も証明済みであることを考えれば、市場価値は十分に説明できる。
さらに2029年まで契約を残していたことも移籍金を押し上げた要因であり、チェルシーは将来性だけではなく、即戦力としての完成度に対して対価を支払う形となる。
パレスと鎌田大地にも及ぶ影響
クリスタル・パレスにとっては守備の中心を失うことになり、新監督の下で最終ラインを再構築する必要がある。
中盤でプレーする鎌田大地にとっても、最終ラインの安定性は重要である。後任補強や新たな守備陣の完成度によって、中盤の役割や守備負担が変化する可能性もある。
正式発表後は守備陣の整理も焦点に
ラクロワの加入が正式決定すれば、次はセンターバック陣の序列が注目される。アロンソ体制では3バック採用が有力視されるが、それでも全員に十分な出場機会を与えることは難しい。
ラクロワは主力候補として迎えられる見通しだが、プレシーズンではレヴィ・コルウィルらとの組み合わせや、中央・右のどちらで起用されるかも焦点となる。
約114億円という大型投資は、単なるセンターバック補強ではなく、シャビ・アロンソのサッカーを実現するための土台作りとして位置付けられる。正式発表が実現すれば、今夏のプレミアリーグでも屈指の大型補強として大きな注目を集めることになりそうだ。

