メッシ躍動のアルゼンチン、0-2から劇的大逆転でエジプトに勝利し8強へ 疑惑の判定も

ナショナルチーム

FIFAワールドカップ2026・決勝トーナメント2回戦で、前回王者アルゼンチン代表がエジプト代表と対戦し、前半に2点のリードを許しながらも後半終盤の猛攻で逆転し、3-2で勝利を収めた。試合は現地時間7月7日(日本時間8日)、米アトランタのアトランタ・スタジアムで行われ、連覇を目指すアルゼンチン(FIFAランキング1位)が、初のベスト16進出で勢いに乗るエジプト(同29位)を土壇場で下す形となった。

前半は伏兵エジプトが優勢に試合を運ぶ

試合開始直後はアルゼンチンがボールを支配する時間が続いたが、先に試合を動かしたのはエジプトだった。前半15分、セットプレーからMFマルワン・アテヤのクロスにDFヤセル・イブラヒムが頭で合わせ、エジプトが先制点を奪った。

直後の19分にはアルゼンチンがPKを獲得したものの、キッカーを務めたリオネル・メッシのシュートをエジプトの守護神モスタファ・ショベイルが好セーブで阻止した。その後もアルゼンチンは敵陣に迫る場面を作ったが、ショベイルの再三のセーブに阻まれ、無得点のまま前半を折り返している。

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後半にエジプトが追加点、崖っぷちの王者

流れをつかんだエジプトは後半22分(通算67分)、”エジプトの王”と称されるFWモハメド・サラーが起点となったカウンターからFWハイセム・ハッサンへとつなぎ、ペナルティエリア内へのクロスを最後にMFモスタファ・ジーコが押し込んで追加点を挙げた。これで0-2となり、アルゼンチンは大会屈指の実力者ぞろいのチームでありながら、まさかの敗退危機に立たされることになった。

なお、この直前の後半13分(通算58分)にもエジプトはハッサン、サラー、ジーコと渡ったカウンターからジーコがネットを揺らしていたが、アッティアがリサンドロ・マルティネスに対して犯したファウルが認められ、VARの判定でゴールは取り消されていた。この判定が後にエジプト側から強い批判を浴びることになる。

メッシ覚醒、13分間で試合をひっくり返す

2点ビハインドという絶体絶命の状況から、アルゼンチンは終盤にかけて驚異的な反撃を見せた。後半34分、右サイドのメッシからのクロスにDFクリスティアン・ロメロが頭で合わせ、1点を返す。

その4分後の39分には、ゴール前のこぼれ球に反応したメッシが左足の難しいショートバウンドのボールを鮮やかにボレーで沈め、同点弾を突き刺した。このゴールはメッシにとって今大会8得点目であり、前回大会からの連続得点記録を9試合に伸ばす、W杯史上最多となる歴代記録の更新でもあった。

そして後半アディショナルタイム、右サイドからラウタロ・マルティネスが供給したクロスに、MFエンソ・フェルナンデスが頭で合わせて決勝点を突き刺し、アルゼンチンが0-2から3-2へと約13分間で試合をひっくり返す劇的な逆転勝利を完成させた。なお、この一撃はW杯史上通算3000点目のゴールという記録にもなった。

メッシが号泣、指揮官も感情あらわに

PK失敗という個人的な逆境を乗り越え、1ゴール1アシストの活躍でチームを勝利に導いたメッシは、試合終了後に思わず涙を流し、チームメートと抱き合って喜びを分かち合った。試合後の会見では「感動している。僕たちは絶対にあきらめないんだ」と、劇的な逆転劇への思いを語っている。

アルゼンチンの指揮官も試合後「感情があふれている」と語り、崖っぷちからの大逆転にチーム全体が高揚した様子がうかがえた。アルゼンチンはこの勝利により2大会連続でベスト8入りを果たし、W杯本大会でのアフリカ勢との対戦成績を9連勝に伸ばしている。

取り消しゴールを巡り現地は物議

一方でエジプト国内では、後半のジーコの”幻の2点目”取り消しに対する不満が噴出している。地元メディア『YallaKora』は主審団を「疑わしいフランス人審判コンビ」と表現し、「クリーンではないプレーがアルゼンチンをベスト8へ進めた」と痛烈に批判した。

英『ガーディアン』も、取り消し判定に至る経緯として、ジーコの得点の約30秒前にマルワン・アティアがリサンドロ・マルティネスのユニフォームを引っ張ったとVARが判定した点を詳しく報じている。同紙は主審ルテクシエ氏とVAR担当のブリサール氏について、過去にフランス国内リーグの試合でも判定を巡り物議を醸した実績があると紹介しており、判定の公平性に対する疑念が根強く残っていることをうかがわせる。エジプトの指揮官もこの判定を巡り「アルゼンチンが審判に圧力をかけた」と激怒し抗議したと伝えられているが、専門家の間でもどこまで遡ってファウルを取るべきかという点で見解が割れており、断定的な結論には至っていない。

エジプト「ジーコ」「トレゼゲ」に懸けられた期待

今大会のエジプト代表には、往年の名選手にちなんだニックネームを持つ選手が複数在籍しており、話題を呼んでいた。今回2点目を決めたMFモスタファ・ジーコは”神様ジーコ”にちなんだ愛称で、名前に「ザキ」が入っていた実兄が先に「ジーコ」と呼ばれ、その弟である彼も「リトル・ジーコ」と呼ばれるようになった経緯がある。今大会のエジプトはグループステージでも逆転勝利を経験しており、伏兵として着実に力をつけてきたことがうかがえるチームだった。

今後の展望、次戦はスイスに決定

今回の逆転劇でベスト8進出を決めたアルゼンチンは、PK戦の末にコロンビアを下したスイスと次戦で対戦することが決まっている。2点ビハインドからの劇的な逆転を経験したことで、チームの精神的な強さと、メッシを中心とした攻撃陣の勝負強さが改めて証明された格好であり、大会連覇に向けた勢いをさらに加速させる材料となりそうだ。一方でエジプトにとっては、VAR判定への不満を残しながらも、初のベスト16進出という歴史的な成果を挙げた大会となった。

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