田中碧、ブラジル戦の失点に繋がったミスを謝罪「自分の責任」

A代表

サッカーW杯北中米大会決勝トーナメント1回戦、日本対ブラジル戦(現地時間6月29日、ヒューストン競技場)で後半アディショナルタイムの失点に関与し号泣した日本代表MF田中碧(リーズ)が、敗戦から一夜明けた取材で「誰のせいでもなく自分の責任」と語り、あらためて謝罪の言葉を口にした。FIFAランク18位の日本は同6位のブラジルに1-2で逆転負けし、3大会連続5度目の挑戦でも決勝トーナメント初勝利を逃した。

悲劇のシーン、試合はどう動いたか

日本は前半29分、佐野海舟(マインツ)が相手の横パスを中盤でカットし、バイタルエリア付近から右足ミドルでゴールネットを揺らして先制した。その後は押し込まれる時間が続き、後半56分にカゼミロのヘディングで同点に追いつかれる展開となった。

試合は延長戦も視野に入る後半アディショナルタイムに突入したが、ペナルティーエリア左でMF田中碧が相手にボールを奪われる場面が生まれ、この流れからFWガブリエル・マルティネッリに決勝ゴールを許した。試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、日本イレブンはピッチに崩れ落ち、涙を流した。特に失点につながる場面に関わった田中は号泣し、しばらく立ち上がれなかった。森保一監督や名波浩コーチ、DF長友佑都らがすぐに歩み寄り、励ましの言葉をかけていた。日本は1勝も挙げられずに3大会連続の16強入りを逃す結果となった。

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ミックスゾーンでも足止まらず、涙は消えなかった

試合直後の田中は涙が止まらず、通常であれば選手が取材に応じるミックスゾーンでも足を止めることができなかった。会場を後にする際もスタッフに支えられるようにして通過し、この日は取材に応じられない状態だったと報じられている。それだけ本人にとって、このワンプレーの重みが大きかったことがうかがえる。

一夜明けての本音「自分の力がまだまだ足りなかった」

敗戦から一夜明けたヒューストン市内での取材で、田中はようやく心境を語った。「悔しいのと、申し訳ないなというのがずっとある」「やっぱりシンプルに自分の力がまだまだ足りなかった」と、率直な言葉で自身の心情を明かしている。

失点シーンの映像についてはまだ見返していないとしながらも、「クリアすれば良かったなとは思うし……それは誰のせいでもなく自分の責任」と、周囲がどう言おうと責任は自分にあるという姿勢を崩さなかった。W杯という舞台での悔しさは「W杯でしか晴らせない」とも語り、次の大会への再挑戦を見据えていることも明らかにした。

チームメートは「彼のミスではない」

一方でチームメートたちは田中を強くかばっている。主将のDF板倉滉は「彼のミスがどうのこうのというのは全くなくて。チームとして戦って、チームとして負けたというそれだけ」と話し、個人の責任として片づけることに異を唱えた。

試合後にはブラジル代表FWクニャ(マンチェスター・ユナイテッドで田中と同じプレミアリーグに所属)が田中に歩み寄り、抱き寄せるように優しく声をかける場面もあった。同じリーグでしのぎを削る相手選手からのねぎらいに、日本国内のファンからも「感動」「いいやつ」といった反応が広がった。サッカー王国ブラジルの選手が、涙を流す相手選手に敬意を示した象徴的な瞬間だったと言えるだろう。

本田圭佑「結果論、誰も責められない」

NHKで解説を務めた元日本代表・本田圭佑も田中への擁護論を展開した。「結果論なんでね」と前置きし、「誰も田中さんを責めることはできない」「田中さんに関しても切り替えてほしい」と語った。試合中には他の選手も別の場面でミスを見せていた点を指摘し、田中一人にすべての責任を負わせる論調に疑問を投げかけている。

英BBCも試合後の報道で「胸が張り裂ける結末だが、敗戦を恥じる必要はない」と日本の戦いぶりを評価しており、逆転勝ちを狙ったブラジル側についても「苛立ちが募る一日に見えた」と苦戦ぶりを伝えている。海外メディアの視点からも、日本の敗戦を一人の選手のミスに帰すのではなく、試合全体の攻防として捉える論調がうかがえる。

SNSでは「戦犯」扱いの声も

チームメートや専門家からの擁護論とは対照的に、SNS上では田中を「戦犯」扱いする投稿が再燃し、中傷めいた反応が噴出したことも報じられている。日本代表がW杯で敗れるたびに繰り返されてきた構図であり、今回もその例外ではなかった。ただし本人を含め周囲の関係者の発言からは、こうした一方的な批判とは異なる、チームとしての敗戦という受け止め方が強く示されている。

プレミアリーグでの成長と次への決意

田中は2025-26シーズン、リーズをチャンピオンシップ(2部相当)からプレミアリーグ昇格に導き、加入1年目から公式戦43試合5得点という実績を残していた。今大会に向けては「思った以上にやれたなというのは個人的にはある」と、プレミアリーグで得た自信を語っていた経緯もある。それだけに、大舞台での終盤のミスは本人にとって受け入れがたいものだったのだろう。

前回のカタールW杯から3年半、着実に力をつけてきた田中にとって、この北中米大会の結末は苦いものとなった。それでも「W杯の悔しさはW杯でしか晴らせない」という言葉には、次の大会に向けた強い覚悟がにじんでいる。チームメートや海外の相手選手からの敬意、そして専門家からの擁護論を受けながらも、あくまで自らの責任として今回の敗戦を背負い込む姿勢は、今後の日本代表における田中の立場や成長を考える上でも注目すべき点となりそうだ。

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