ブラジル代表が過去4戦して一度も勝てていない唯一の相手、ノルウェーとの決勝トーナメント初対決が7月5日(日本時間6日午前5時)、ニュージャージー州イーストラザフォードのMetLifeスタジアムで実現する。五輪王国と「歴史的な天敵」の因縁の一戦は、W杯ラウンド16屈指の注目カードとして世界中のサッカーファンの視線を集めている。
ラウンド32、両者の決勝トーナメント初戦を制す
ブラジルはラウンド32で日本と対戦し、佐野海舟の先制ゴールで一時劣勢に立たされたが、カゼミーロが同点弾を決め、後半アディショナルタイムにガブリエウ・マルティネッリが決勝点を挙げて2-1で逆転勝利を収めた。この勝利によってブラジルは決勝トーナメント初戦を突破した。
一方のノルウェーはラウンド32でコートジボワールと対戦し、86分前後にアーリング・ハーランドが決勝点を叩き込み2-1で勝利した。これはノルウェーにとってW杯決勝トーナメント史上初の勝利であり、大会でここまで無敗を続けている勢いに乗る形での大金星となった。両チームともギリギリの試合展開で決勝トーナメント一回戦を勝ち抜いており、次戦への士気は高まっている。
4戦して0勝2分2敗、ブラジルが唯一勝てない代表
ブラジルはこれまで88の国と対戦し、通算成績は圧倒的な勝率63.2パーセントを誇る、世界屈指の強豪国である。しかしその輝かしい歴史の中で、ノルウェーだけには一度も勝利できていないという不思議な事実が存在する。
過去の対戦成績は以下の通りだ。
| 試合日 | 会場 | 大会 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 1988年7月28日 | オスロ | 親善試合 | 1-1ドロー |
| 1997年5月30日 | オスロ | 親善試合 | ノルウェーが4-2で勝利 |
| 1998年6月23日 | マルセイユ | W杯フランス大会グループステージ | ノルウェーが2-1で勝利 |
| 2006年8月16日 | オスロ | 親善試合 | 1-1ドロー |
4試合で2分2敗、ブラジルの0勝という記録は、五大会優勝国のイメージとは裏腹の異色のデータとして海外メディアでも度々取り上げられている。
1998年フランス大会、ノルウェー史上最高の逆転劇
両者の対戦の中でも最も語られるのが、1998年フランスW杯グループステージ、マルセイユで行われた一戦だ。この試合でブラジルはベベートのゴールで先制したものの、83分にトーレ・アンドレ・フロが同点弾を決め、89分にはシェティル・レクダルがPKを沈めて逆転に成功、2-1でノルウェーが勝利を収めた。
この時点でブラジルは既にグループ首位通過を決めていたとされる状況下での敗戦だったが、ノルウェーにとってはこの結果によりグループ2位で決勝トーナメント進出を果たし、ノルウェーサッカー史上最高の結果の一つとして今も語り継がれている。28年の時を経て、両者は今回初めて決勝トーナメントの舞台で再び対峙することになる。
海外メディアが注目する「天敵」という因縁
米USA Todayは今回の対戦カードを「これまでで最も見応えのあるラウンド16マッチアップの一つ」と評し、両国の過去の対戦成績を大きく取り上げている。ブラジルの5度のW杯優勝という輝かしい歴史と、たった4回の対戦で一度も勝てていないという意外な事実のコントラストが、海外メディアの関心を集めるポイントとなっている。
日本メディアもこの構図を「歴史的な天敵」という表現で紹介しており、国内外問わずこの因縁が大きな話題性を持つ一戦として受け止められていることがわかる。ただし、この「天敵」という表現はあくまで過去のデータに基づく論評であり、今回の対戦結果を予測する根拠にはならない点は留意しておきたい。
鍵を握るスタープレーヤーたち
ノルウェー攻撃陣の中心はマンチェスター・シティで得点を量産するアーリング・ハーランドであり、ラウンド32でもチームを救う決勝点を挙げた勢いは本大会でも継続している。中盤の組み立てを担うマルティン・ウーデゴーとの連携が、ブラジルの堅守を崩せるかが試合の分水嶺になるとみられる。
対するブラジルは、ラウンド32で決勝点を挙げたガブリエウ・マルティネッリに加え、ヴィニシウス・ジュニオール、ラフィーニャ、ロドリゴら強力な攻撃的ユニットを揃えている。ブックメーカーのDraftKingsは本試合でブラジルを90分間のマネーラインで-110の本命として設定しており、90分以内でのブラジル勝利をやや優勢と見ているが、ノルウェーの延長勝利オッズも+310と、簡単な試合にはならないとの見方が広がっている。
ノルウェーにとって歴史的なベスト8進出への挑戦
ノルウェーは過去にW杯決勝トーナメントへの進出経験がわずか2回(1938年、1998年)しかなく、いずれの大会でもラウンド16で姿を消している。今回勝利すれば、ノルウェー史上初のW杯準々決勝進出という新たな歴史を刻むことになり、チームにとっての意味は非常に大きい。
一方のブラジルは、勝利すれば7月11日(ブラジリア時間、日本時間12日午前6時)にマイアミで行われる準々決勝への進出が決まる。5度目の世界一を目指すセレソンにとって、今大会を通じて唯一負け越している相手との対戦は、単なる一戦以上の重みを持つ試合と言えるだろう。
試合概要と視聴のポイント
キックオフは米国東部時間7月5日16時、日本時間では翌6日午前5時に予定されている。試合会場のMetLifeスタジアムはNFLニューヨーク・ジャイアンツとジェッツの本拠地であり、来月開催される決勝の舞台にもなる会場だ。
歴史的なデータの上ではブラジルが「天敵」に苦しめられてきた構図だが、両チームとも決勝トーナメント初戦をギリギリの展開で突破しており、勢いに乗る両者の激突は予想の難しい好ゲームになりそうだ。ブラジルが28年ぶりの雪辱を果たすのか、それともノルウェーが再び歴史を繰り返すのか、注目の一戦は目前に迫っている。

