ドイツとオランダ共にPK負けでベスト32敗退、W杯史に残る衝撃の1日

オランダ

2026年6月29日、FIFAワールドカップ北中米大会で前代未聞の事態が起きた。同じ月曜日に、欧州の強豪ドイツとオランダが相次いでPK戦に敗れ、新設のベスト32ラウンドで大会を去った。

「衝撃の月曜日」が残したもの

今大会は出場国が48カ国に拡大された初めてのW杯であり、ノックアウトステージには従来にはなかった「ラウンド32(ベスト32)」が新設された。その初弾として、まず4度の世界王者ドイツがFIFAランキング10位ながらランキング41位のパラグアイにPK3-4で敗退。続けてランキング8位のオランダがランキング7位のモロッコにPK2-3で競り負けた。かつてW杯で何度もトロフィーを争ってきた2カ国が、同じ夜に同じ形で姿を消した──この事実だけで大会史に刻まれる一日となった。

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4度全勝の神話が崩れた夜──ドイツ対パラグアイ

ドイツは米国・マサチューセッツ州フォックスボローのジレットスタジアムでパラグアイと対戦した。前半42分、パラグアイのFWフリオ・エンシソに先制ゴールを許したが、後半9分にカイ・ハヴァーツが頭で同点に追いついた。ゲームはそのまま延長戦へ突入したが、120分を終えても決着はつかなかった。

PK戦に入ってドイツを待っていたのは、まさかの3連続失敗だった。1人目のハヴァーツはパラグアイGKオルランド・ヒルにセーブされ、4人目のニック・ウォルテマーデも同様にヒルに阻まれた。さらに6人目のヨナタン・ターがバーを大きく越えて失敗し、決勝PK成功のホセ・カナーレに勝敗を決められた。ドイツはW杯のPK戦で過去4回すべてに勝利してきた(1982年・1986年・1990年・2006年)が、今回が歴史上初めての敗退となった。

VARが変えた試合の流れ──幻のゴールとメンタルの崩壊

この試合で最大の分岐点となったのが、延長後半12分(全体102分)のシーンだ。ターがヘッドで決勝弾を叩き込んだかに見えたが、VARが介入。ヴァルデマール・アントンがゴール前でGKに対してファウルを犯したと判定され、ゴールは取り消された。

このターはその直後のPKで、最大の見せ場に立たされることになる。ただでさえ「幻のゴール」の直後という過酷な状況の中、ターのキックは無情にもバーを越えた。The Athleticは「ハヴァーツがW杯でPKを失敗した最初のドイツ人は1982年のウリ・シュティーリケ以来」と歴史的背景を掘り起こし、その上で今回は1人ではなく3人が失敗したという異例さを強調した。

パラグアイの徹底準備──ヒルGKの「分析と戦略」

パラグアイのGKオルランド・ヒルは試合後、「すべての選手を分析し、2本だけ防げるよう準備した」と明言した。2本のセーブを実現し、計画通りに番狂わせを完遂したかたちだ。

パラグアイは2010年大会以来16年ぶりのW杯出場。世界ランク41位の格下チームが4度の世界王者を沈めた結末は、Reutersが「W杯の歴史でも最大級の番狂わせの一つ」と表現するほどの衝撃を世界に与えた。次戦ではフランスとスウェーデンの勝者と対戦する。

ナーゲルスマン監督の叫びと「3大会連続敗退」の衝撃

試合後、ユリアン・ナーゲルスマン監督は率直に現実を受け止めた。「第1ステージで敗退するようでは、ドイツサッカー界では通用しない。これで3大会連続の敗退だ。もはや我々はトップレベルのチームとは言えない。失望している」とコメント。その上で続投については「求められれば準備はできているし、私は逃げ出すような人間ではない」と語気を強めた。

ドイツは2018年ロシア大会・2022年カタール大会ともグループステージで敗退。今大会はグループ首位通過で「ようやく復活」の期待を高めていただけに、ベスト32での敗退はまさに追い打ちとなった。1938年大会以来、最も早いW杯からの退場という歴史的な汚点まで記録してしまった。ドイツ代表の公式Xは結果を「the end」とだけ投稿し、コメント欄は批判で溢れた。

PK戦の呪い、4度目──オランダ対モロッコ

メキシコ・モンテレーで行われたオランダ対モロッコは、前半から拮抗した展開となった。後半27分にコーディ・ガクポが先制ゴールを奪い、オランダは逃げ切りを図ったが、後半アディショナルタイムの90+1分にモロッコのイリアス・ディオップが値千金の同点ヘッド。劇的に試合を振り出しに戻した。

PK戦では、双方がミスを繰り返す混乱した展開となった。オランダはジャスティン・クライフェルト(ポスト)、クインテン・ティンバー(枠外)、そして最後のクリセンシオ・サマービルをGKヤシン・ブヌにセーブされて計3本失敗。モロッコもエル・アイナウイ(バー)とアシュラフ・ハキミ(ポスト)が失敗したが、最後はイスマエル・サイバリが決勝PKを突き刺し、3-2での勝利をもぎ取った。これはオランダにとってW杯4度目のPK敗退であり、史上最も早い大会退場でもある。

試合後のホナルト・クーマン監督は、5バックを敷いた守備的戦術について「守りを固めることが、モロッコに対して有効だと判断した。もし終盤の同点弾がなければ、戦術家として絶賛されていたはずだ」と語り、自らの采配を擁護した。

モロッコの継続する挑戦──「アフリカの雄」が再び旋風

モロッコは2022年カタールW杯でアフリカ勢初のベスト4進出を果たした強豪だ。今大会も2大会連続でベスト16に進出し、アフリカサッカーの実力を世界に知らしめている。次戦はホスト国カナダと対戦する予定で、北米開催の地の利を持つ相手に、アフリカの旋風がどこまで続くかに注目が集まる。

48カ国大会が生む「番狂わせ構造」

2026年大会から出場国が48に拡大され、初のラウンド32が実施された背景も見逃せない。強豪国にとっては、グループ3位突破のチームも含む「想定外の相手」と最初から当たる可能性が生まれ、コンディション管理や準備の精度が従来以上に問われる大会設計になっている。ドイツが当たったパラグアイはグループDの3位通過チームだった。

既存のW杯の常識が通用しないこの大会フォーマットが、「1938年以来最速の敗退」「W杯史上初のPK敗退」といった歴史的な記録をドイツに刻み込んだ。新設のラウンド32は、大会をより予測不可能なものに変えると同時に、強豪国にとって「格下に足をすくわれる」リスクを大きく高めている。ドイツとオランダが同じ夜に示したその現実は、48カ国時代のW杯が持つ残酷な本質そのものだ。

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