現地時間2026年6月20日、北中米ワールドカップ(W杯)グループF第2戦で日本代表がチュニジア代表に4-0で圧勝した。日本のW杯1試合最多得点記録であり、アジア勢として史上初の快挙でもある4ゴールに、世界の目が釘付けになった。
W杯1000試合目を日本が飾った
メキシコ・モンテレイのエスタディオBBVAで行われたこの試合は、W杯男子の通算1000試合目というメモリアルマッチでもあった。試合はわずか4分で動いた。中村敬斗の低いクロスをMF鎌田大地がヒールで流し込み先制。前半30分には上田綺世がペナルティエリア外から角度のある強烈な低シュートをファーサイドに突き刺し追加点を奪った。後半に入ると、今度は上田がアシストに回り伊東純也がゴールに沈め3点目。後半38分には上田が自らゴールを決めて4点目を記録し、試合を完全に締めくくった。
得点者は鎌田大地、上田綺世(2ゴール1アシスト)、伊東純也の3名。上田はW杯初ゴールをこの舞台で刻み、通算17得点にこのゴールを加えた。日本はこの勝利でグループFで勝ち点4を獲得し、オランダと首位に並んだ。
BBC「優勝候補という主張も十分に成り立つ」
試合後、世界の主要メディアが一斉に反応した。英国公共放送BBCは「今回の日本は本物だ。何も恐れずに突き進んでいる」と断じ、「彼らが優勝候補だという主張も十分に成り立つ」とまで踏み込んで評価した。試合中継で解説を務めた元スコットランド代表MFのチャーリー・アダム氏も「日本はあまりに壮麗だった。本当に素晴らしすぎた」と絶賛。チュニジアの出来を差し引いても、日本の質の高さは疑いようがないとコメントした。
Sky Sportsは試合レポートの中で「日本はあくまでも容赦ない、圧巻のパフォーマンスでチュニジアを叩き潰した(delivered a ruthlessly punishing performance)」と表現した。さらに「森保一監督の統率されたチームは、他国が誇るほどの世界的スター選手に欠ける部分があるかもしれないが、そのインテンシティ(強度)で並ぶチームはほとんどいない。ダークホースとして、今夏に大きなインパクトを与える最有力候補だ」とも記した。プレミアリーグや欧州主要リーグを扱う英最大級のサッカーメディアが、日本を本大会の台風の目として名指しした意味は大きい。
「三笘・遠藤・南野なしでこれか」——主力不在が逆に証明した総合力
Sky Sportsがとりわけ注目したのが、主力3選手の欠場という事実だ。三笘薫(ブライトン)、遠藤航(リバプール)、南野拓実(モナコ)という欧州でも実績十分な選手たちが負傷でベンチ外となる中での4-0快勝は、「控えがW杯でこの水準で戦える」という総合力の証明として海外メディアには受け取られた。
Al Jazeeraも「アジアの強豪がノックアウトステージ進出に大きく前進」と位置付け、グループFの首位争いにおける日本の実力を高く評価した。Washington Postはスポーツトップページで「4大会連続ノックアウトステージ進出に向け大きく前進」とし、米国内でも日本の注目度が急上昇していることを示した。アジア出身チームとして1試合4ゴールという前例のない記録も、英字メディアを中心に広く言及された。
米メディアが問い始めた「日本はダークホースか?」
米国のFox Sportsはスタジオ特集として「Japan Sleeper Team?(日本は過小評価された優勝候補なのか?)」と題した番組を放映し、メリッサ・オルティス、サシャ・クルイェスタン、ブラッド・グザンの3人の解説陣が驚きを交えながら日本の強さを分析した。「欧州の強豪と比べてもまだ日本は軽く見られている部分がある。それが今大会で次々と証明されていく過程になるかもしれない」という論調は、対戦国となりうる欧米の国々にとっても他人事ではない話題として広がった。
Redditのr/soccerでは試合中からマッチスレが大量のコメントで埋まり、「このチームは完全にクレイジー(最高の意味で)」「三笘も遠藤も南野もいないのにこのサッカーをやり切るのか」「W杯のダークホースは正式に日本で決まり」といった声が多数投稿された。ファンの反応はあくまで参考値にとどまるが、欧米の一般サッカーファン層における日本への認知と期待値が、確実に引き上げられていることを示す動きといえる。
「アジアの枠を超えている」——韓国メディアが抱えた複雑な感情
隣国・韓国のメディアおよびSNSの反応は、驚きと複雑な感情が入り交じったものとなった。「アジアの枠を超えている」「ライバルだと思っていた日本がここまで差を広げていたのか」という声が相次ぎ、日本への対抗意識と現実認識の間で揺れるコメントが目立った。一方で「アジア全体のレベルアップのために日本が存在感を示すことは悪いことではない」というポジティブな視点も一部に存在した。
アジアの視点で見れば、日本がW杯の1試合でアジア初の4ゴールを達成したという事実は、AFC全体に対する世界の見方を変える可能性を持つ。日本が格上の欧州・南米勢と互角以上に渡り合う姿は、アジアサッカー全体への評価底上げにもつながり得る。
チュニジアの内部崩壊という文脈
日本の強さをより際立たせる背景として、チュニジア側の内部事情も見逃せない。チュニジアは初戦でスウェーデンに5-1と大敗し、試合後に監督サブリ・ラムシを電撃解任。後任には2022年W杯でサウジアラビアを率いてアルゼンチンから番狂わせを演じた名将エルヴェ・ルナールを招聘したものの、就任からわずか5日での今試合に臨むこととなった。
Sky Sportsは「日本はそんな(内部混乱状態の)チュニジアに対して容赦しなかった」と指摘し、それを日本のメンタリティの強さとして評した。チュニジア国内では「完全に崩壊した」「監督を代えても何も変わらなかった」と失望の声が渦巻いており、母国ファンの怒りの矛先はクラブの強化体制全般に向いている。日本が踏み台にしたのは単なるW杯出場国ではなく、混乱の極みにあったチームだったという文脈は押さえておく必要がある。ただし、それを差し引いても、試合内容の完成度という点では多くの海外メディアが日本を一様に高く評価している。
鎌田・上田・伊東——欧州で磨かれた3人の輝き
今試合で存在感を放った3選手に共通するのは、欧州の主要リーグで揉まれ続けてきたという経歴だ。鎌田大地は2戦連続ゴールと絶好調で、欧州各地で培った戦術眼と技術の高さを見せた。上田綺世はW杯初ゴールをこの大舞台で決め、2得点1アシストと圧巻の活躍。伊東純也は後半に決定的な3点目を沈め、試合を完全に決定付けた。
Sky Sportsが「4つのゴールには全てチームとしての側面があった(Every goal had a team aspect to it)」と評したように、個人の技術だけでなく組織として機能した点が際立つ。特定のスターに依存せず、誰がピッチに立っても同じ強度を発揮できるチームの完成度——それが「三笘・遠藤・南野なし」での4-0という結果として表れたとも言える。
グループ突破へ——残るはスウェーデン戦
日本は現在グループFで勝ち点4(1勝1分)を獲得し、同じく勝ち点4のオランダと首位に並んでいる。次戦(第3戦)で引き分け以上、あるいはオランダが敗れた場合には、4大会連続となるW杯ノックアウトステージ進出が確定する。第3戦の相手は北欧の雄スウェーデン。2022年カタールW杯ベスト8の歴史を持つ日本にとって、悲願のベスト8超えを目指すうえで最大の試練となる一戦だ。
世界が「今回の日本は本物だ」と認め始めた今、次のスウェーデン戦での結果が、日本代表の評価をさらにどれだけ高めるか——世界の目が一斉に森保ジャパンへと向いている。

